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密室の鍵、300円でお売りします。



「青い鳥文庫」にはずいぶんお世話になった。




ご存じの方がほとんどだと思うけど、「青い鳥文庫」は小・中学生向けの小説レーベル。ノンフィクションから重厚なファンタジーまで子どもの興味を引く書籍を出版し続けている。

なんて説明しなくても、きっとあなたの学校の図書室にもあったでしょう。水色の鳥たちに縁取られた表紙、手にとった瞬間は「自分に(子どもに)読めるの?」と思うようなちょっと分厚目のページ数、そんな心配を杞憂にしてくれる面白さ。

趣味の違う読書好きと出会っても、青い鳥文庫の話をするとたいてい楽しくおしゃべりできる。みんなあの本たちに育てられてきたのね。


わたしが一番好きだったのははやみねかおるの「夢水清志郎」シリーズ。ちなみに今「ゆめみず」って打ったら自動変換で出てきた。すげぇ。

はやみねかおるは児童書だけじゃなくて大人向けミステリも書いているから、知っている人も多いかもしれませんね。他にも「怪盗クイーン」シリーズとか、「都会のトム&ソーヤ」とかもあるし。挙げ始めたらきりがない。

はじめて手にとったのが小学5年生のとき。その時シリーズのどこまで既刊だったかわからないけど、6年生にあがる前には制覇してたと思う。そのくらい魅了されてたの。


ミステリーって、すごい。こんな世界があったのか。


今ではミステリー以外のジャンルもたくさん読むし、なんなら本格ミステリ好きから言わせたらわたしなんかはモグリもモグリだろうけど、やっぱり「ミステリー」「推理」「名探偵」の言葉には心踊ってしまう。たぶん秘密の魔法でもかけてあるんだろう。



「密室」もその中のひとつだ。

ミステリを語る上では欠かせない要素、「クローズドルーム」。数多の作品でくり返し使われ続けても色褪せるところを知らない様式美。


でも物語の形式上、すべての密室は暴かれる運命にある。


閉じられた扉は人の手によって開け放たれ、カビた本の香りに風が通る。時間の有無に関わらず、誰にも開けられぬように鍵をかけられた部屋はいつもどこか湿った匂いがする不思議。

その湿気はたぶん人間の匂いで、誰もいないくせに人の気配がするのはきっと、秘密にしたいけど知られたいからじゃないだろうか。


「秘密にしたい」と「話したい」は、たぶん両立する。


だから「内緒」なんて言っておきながらほんの少しだけ鼻先にちらつかせてみたり、犯人は憂いた横顔を見せてみたりする。そういう部分を含めて好きなのだ。



✳︎



自分にとってもそういう「密室」のような場所を作りたくて、このたび有料マガジンをはじめることにしました。隠したいけど、話したいこと。墓場まで持っていきたいけど、小分けにして人の手に渡してしまいたいもの。

今までは公開するかどうか迷っていた小説、ちょっとプライベートなエッセイ、「書く」ことに対する気持ちなど。

そういうものたちを詰め込めんだ場所にしたいと思っています。


買い切りの有料マガジンなので、一度の購入でそれ以前に公開した記事&その後公開する記事も読めます。

基本的には一部無料部分をつける予定ですので、そこに何か「ひっかかり」があったら購入して頂けると嬉しいです。


密室の鍵は、300円でお売りします。


その鍵を手にしてくださったあなた、クローズドルームの中で待ち合わせしましょう。

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