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2021年1月の記事一覧
夕焼けに煙る【短編小説】#月刊撚り糸
涙が出そうになった。ヤマさんが吐き出す煙草の煙が目に染みる。煙の中にいるのは嫌いじゃないけれど、閉め切られた車内は暖房が効きすぎて、すこし息が詰まる。横目で覗き見てみると、吸っている銘柄がセブンスターで、昔から変わっていないことに驚いた。一途さはこういうところにも表れるものなのかもしれない。
「窓、開けてもいい?」わたしが尋ねると、
「ごめん、煙たかった?」そう言って、ヤマさんは視線を前に向けた
涙が出そうになった。ヤマさんが吐き出す煙草の煙が目に染みる。煙の中にいるのは嫌いじゃないけれど、閉め切られた車内は暖房が効きすぎて、すこし息が詰まる。横目で覗き見てみると、吸っている銘柄がセブンスターで、昔から変わっていないことに驚いた。一途さはこういうところにも表れるものなのかもしれない。
「窓、開けてもいい?」わたしが尋ねると、
「ごめん、煙たかった?」そう言って、ヤマさんは視線を前に向けた