今年の冬は彼女のために #月刊撚り糸
国道沿いから一本外れたトウカエデの並木道は暖かなまどろみに包まれていた。若葉の木漏れ日が作るまだら模様のアスファルトの踏み心地は柔らかく、5センチヒールの足取りは軽い。半歩前を歩く彼のスニーカーはまだ新品同様に真新しく、春らしい清潔感にあふれていた。
短く明瞭に告げられた「付き合ってほしい」の一言に「はい」と返事をすると、彼はほっとしたようにしばらく沈黙した。私もそれに合わせて唇を引き結び、人通りの少ない道を連れ立って歩く。風にざわめく木々の音をBGMにして、ふたりの関係が