見出し画像

隊長の能楽メモ2月号

久しぶりの能楽メモを書きます。これまでの記事は一番下に貼っておきます。

まずテレビ番組ガイドから。『俺の家の話』は別として、NHK-BSでドキュメントが1本あります。

Core Kyoto「町かどの能~人々をつなぐ 夢幻の歌舞劇~」
[BS1] 2021年02月18日 午後2:00 ~ 午後2:30 (30分)
600年以上、能を育んできた京都。能を習うことで生活に彩りを添えているアマチュアと能の魅力を伝えようとする能楽師の姿を通して庶民の暮らしに息づく能の魅力に迫る。

京都の能と東京の能との差。流派の力関係や町と能楽の関係など、切り口はいろいろあるでしょう。狂言も京都と東京でそれぞれ主戦場とする家がありますね。京都の町と能という視点はおもしろそうです。

能ではありませんが、俺らの世代の舞台として楽しみなのがこれ。

アナザーストーリーズ「越境する紅テント~唐十郎の大冒険~」
[BSプレミアム] 2021年02月16日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)日本の演劇を揺さぶった唐十郎率いる“紅テント”。権力との衝突も辞さず、国境を越え、紛争地でも芝居を上演。その魂は歌舞伎の大名跡にも!唐の冒険と異空間への誘い。

大学時代、ずっと演劇活動をしていたので、紅テント(あかてんと)は懐かしいです。状況劇場。

状況劇場出身の主な俳優=李麗仙、磨赤兒、根津甚八、小林薫、佐野史郎

小林薫は『晴天を衝け』の渋沢栄一の父・市郎右衛門役ですね。一度だけ全盛期の状況劇場を見たことがありますが、激密でした。あのころは、つかこうへい、野田秀樹、俺が好きな竹内銃一郎の時代です。

演劇・舞台としての能を考えるヒントになるかもしれません。

プレイヤー論としては、アングラ演劇の舞台と能舞台の違いは大きいです。最初、能舞台で型の稽古をした時、俺は普通の舞台に慣れていたので、能舞台では動くカンが働きません。この空間にどう自分の魂を放つか、というのは若いころのひとつのテーマでした。AVもまた、劇空間を持っているのですが、こっちではデビューしてすぐに放ち放題w やっぱり向いていたんでしょう。

感染者数が減ってきたとはいえ、もう少しコロナ自粛生活が続きます。そこで今回は在宅しながらの能楽入門という視点から2点ほど書いてみます。

❶ネットやレンタルDVDで能楽関連の映画・テレビ番組を見る

上にも紹介したように関連番組はいろいろあるのですが、映画ならオススメは『歌行燈』です。

画像1

自らの才能にうぬぼれるあまり人を死に追いやり、勘当の身となった能楽師が、流転の人生を歩むことに。泉鏡花の小説をもとに手掛けた「芸道もの」の傑作。 監督は衣笠貞之助、出演は市川雷蔵と山本富士子。 1960年作品。
ストーリーは、恩地喜多八は能のシテ方宗家の甥であったが、謡の師匠宗山と腕比べを行い自殺に追い込んだために勘当される。宗山には娘お三重がいたが、親の死によって芸者となっていた。肺を病み流浪する喜多八は偶々お三重と会い、二度と能をしないとの禁令を破ってお袖に舞と謡を教える。

喜多八の伯父の前でお三重が『海人』(観世では『海士』)の「玉之段」を舞う場面がクライマックス。この作品を見た時、命のやり取りとも言うべき芸道の修羅に身も心も引き締まりました。

演劇というよりは果し合い。しかも、プロレスではなく総合格闘技。DVDを置いてあるレンタル店も多いはずです。

玉の段というのは、『海人』の舞の部分です。海底の玉を取りにもぐる様が迫力満点のか海中パノラマとして描かれます。この『歌行燈』で玉の段のシーンを見たら、渡辺保『能のドラマツルギ― 友枝喜久夫仕舞百番日記』の海人の章(無限の愛)を読んで欲しいです。仕舞を見ているので、書かれていることがよりわかると思います。角川ソフィア文庫で594円です。

そして、海人のシテがどんな面や装束を使うかも検索してみてください。海人の舞台写真もすぐに出てきます。

ここでは『歌行燈』を起点にして、鑑賞を広げていく方法を紹介しました。

ネットでは能の動画もたくさんありますが、見たいなと思っているのが『100分de名著 風姿花伝』です。こちらはNHKのおなじみのシリーズですが、過去の番組もオンデマンドで200円で見れます。4回なので800円。月極めもあるので、見たい回を短期でマトメ見るのがお得。

❷メルカリでCD、DVD、謡本を集める

コロナ禍の副収入ビジネスとしてメルカリが人気ですが、能楽関連の商品もたくさん出品されています。謡や囃子を収録したCD、名演集のDVD、各流派の謡本など、割安で入手できます。能面も売ってます。

海人の謡本は梅若流(観世)のものが666円でした。高砂や羽衣を収録したCDが999円。このあたりは能に親しんでから入手してもいいでしょう。

能に親しむコツのひとつは囃子を知ることです。囃子を集めたCDは1、2枚聞くといいでしょう。それについては、以前の記事で書きましたので、バックナンバーをご覧ください。

以上、能に親しむ自粛生活を考えてみました。まずは、なじんでみて欲しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?