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出会いは自分で掴もうと思うと必然に変わる


生まれてからずーっと長い時間、一体私はどれだけの人と出会ったのだろう?

そしてその中で『あっ、この人は自分にとって離してはいけない人なんだ』と思う人は一体どれくらいいるのだろう?

後から『あっ、この人は自分の人生に弾き込んでおかなきゃいけない』と思っても、きっとその時は遅い事がほとんどで、人との出会いはどんな人でも大切にしていかなければならないのではないか?

何もしないですれ違うだけの出会いより、例え後悔しても出会った人と自分なりに親身になって接していきたい。

そう思うのは過去に出会いを捨ててしまった事があるからだと思う。


■昔を振り返ると

私の幼い頃はとても内気で、例え同じ保育園やクラスが一緒でも『一緒だったっけ?』と言われるくらい薄い存在だった。

変わったのは1型糖尿病(当時は若年性糖尿病と言われていました)になった時。

自分は『こんなに若いのに糖尿病になるなんて』と周囲から可哀想だと言う気持ちと共に好奇心の目を向けれる時だった。

注目されたくない気持ちと共に、同情の目がとても痛く、本当に消えてしまいたい気持ちでいっぱいだった。

何よりも親が自分に対してこんな体に産んでしまって申し訳ないと思う気持ちが心に痛く打ち込まれる。

そんな自分の存在にとても嫌気がさしてしまっていた。

誰のせいでもないので、何処にこの気持ちをぶちまけたらいいのか?
自分を傷つけ、周りが見えないくらいに消えてしまいたい。

いつしか人と出会う事がとても嫌な事に思えて仕方がない気持ちでいっぱいになっていた。



■転機が訪れたのは仕事を初めてから

病気を知らない人の中で必死に仕事に打ち込んだ。

初めは覚えられない仕事に戸惑い、出来ない自分に負けそうになった時もあった。

けど、仕事を繰り返していくうちに出来なかった仕事が出来るようになり、任せてもらえる仕事が多くなる。

病気は治らない未来しか見えないけど、仕事は頑張ったら頑張った分だけ自分に返ってくるものが増えていく。

それがとても嬉しかったし楽しかった。

人と接するのが嫌だったはずなのに、仕事を通じて人に喜んでもらえる仕事をと心掛ける自分がいた。

どうしたら職人が厳しい環境の中、スムーズに気持ちよく仕事をしてもらえるようになるのか?

どうしたら施主に完成を喜んでもらえるか?

どうしたら会社に働きを還元できるか?

いつしか人の為に動く自分がいた。

仕事でそう言う考えが持てるようになると、プライベートでも考え方が変わっていく。

昔捨ててしまった友人達にもう一度会いたくなった。

家族にも笑顔が向けれるように気持ちにゆとりが持てるようになった。

そして、病気を持つ自分を認められるようになった。

いつしか1型糖尿病がある事が私の人生にとって良かったと思えるようになる。

1型糖尿病を通じて、沢山の患者さんや医療従事者の方々に出会い、沢山自分の体験談を話せるようになった。

1型糖尿病の患者会を開き、医療従事者の方々に患者の気持ちを共有し、医療現場に活かしていただきながら、昔殻に閉じこもっていた自分みたいに悩みを持つ患者さん達の話を共有し、共に考える時間を持てるようになった。

縮こまった自分が大きく手を広げられるようになっていた。


■もうすぐ終わる2021年

コロナ禍の中、10数年ぶりに出会う人もいれば、私の人生を変えるかもしれない人にも新たに出会ったりした。

インスリン発見より100周年である今年、インスリンメーカーであるノボ・ノルディスク ファーマが開催しているプロジェクト、『A LIFE-SAVING DISCOVERY TURNS 100 YEARS~インスリン発見100周年 「糖尿病治療の過去、現在、未来」~』に参加させていただき、SNS漫画の体験レポートをさせていただいた。


仕事でも10年以上ブランクがあるのに後輩が頼ってきて、仕事をさせてもらっている。

そこで出会った新たな沢山の業者や、以前私を育ててもらった業者と再び色々な仕事の話をし、建築の職場復帰から1年、頼り頼られの関係がとても強く出来ている。

また、1型糖尿病と仕事の両方で何か社会に出来ないかと今の職場で出会った人とプロジェクトを立ち上げつつある。

インスリンが発見されて100年。

100年と言うととても長く感じるかもしれないが、私が1型糖尿病を発症して38年。
友人の1型糖尿病の中には50年を過ぎた方もいる。

発見されてインスリンが1型治療薬として社会に出るまでは、自分達の病気は『死』を意味していた。

現在は沢山のインスリンの種類も出て、治療として使われる機材も発達し、インスリンさえ打てば患者のほとんどが問題なく社会で活躍出来る。


■未来へ

昔、消してしまいたいと思っていた私自身。

そんな過去の自分を思い出すと、その時消えなくて良かったと心の中から思う。

去年はコロナ禍と言うこともあって、人と会えない時間が続き、そんな中で少しでも手を伸ばし、コロナ禍の前より貪欲に形を変えて人と会う手を伸ばした年だった。

今年はそんな手の伸ばし方を少しずつ分かり始めて、色んな物を掴みにいった年だったと思う。

そう考えると私にとっては本当にいい出会いを掴めた年だったのではないか。

砂浜の中で踏みしめる一粒一粒の砂が、波に行ったり来たりするように、人は誰かとすれ違うけれど、その一粒の砂を握り締めるように人を掴むのは自分自身。

今年出会った方々と、来年も更なる飛躍を目指し、もっと沢山の人に出会っていきたいと思う。

出会いは偶然で出会う事もある。
でも、その出会いを自分の人生の中に取り入れ、掴む事が出来たら

その出会いは『必然』に変わる。

来年も必然を沢山集める年である様に

努力する年にしていこうと思う。

よろしければサポートをお願いします。 いただいたサポートは1型糖尿病を持つ方へのサポートとして活用させていただきます。