エンタメとしてのサッカーとスポーツとしてのサッカー
始めに
みなさんは先日のUEFAネーションズリーグ決勝のスペイン対フランスが行われ、激闘の末1-2でフランスがこの戦いを制しました、
さて、今日お話ししたいのはそのスペイン対フランスでの後半35分に起こったキリアン・ムバッペ選手のゴールについての疑惑の判定についてです。私のような者がこれについて話すのはおこがましいと思いつつも、文章の練習と、いろいろな人とこれについて議論してみたいという思いから書かせていただきました。
オフサイドって。
そもそもオフサイドの意義を考えてみると、選手が相手ゴール前に張り付くことによってゲームが面白くなくなってしまうことを防ぐためであり、それが無いととてもオープンな展開のサッカーになってしまい、自陣ゴール前で奪ったボールを相手ゴール前に蹴るという単調で面白くなくなってしまいますよね、
問題のシーン。
現行の競技規則ではオフサイドポジションは次のように定義されています
・競技者の頭、胴体もしくは足の一部でも、ボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い位置にある。
出典:JFA公式ホームページ|競技規則
私の描いた最終ラインが絶対に合っているとは言い切れないのですが、この写真ではムバッペ選手の足が明らかに最終ラインを越えているため、彼はオフサイドポジションにいることは明らかだと言えるでしょう。
しかしこのプレーがなぜオフサイドの反則を取られなかったのか、私がここで言うまでもないかもしれませんが、このフランスの選手が蹴ったパスを最終ラインのE・ガルシア選手がカットしようと試みたものの、ボールにはかする程度となってしまい、ボールは不運にもムバッペ選手の元へ渡り、ムバッペはキーパーとの1対1を沈め勝ち越し。というシーンなのですが、この試合の主審はE・ガルシア選手が「ボールをプレーした」というように判断したからなのではないかと思います。
確かに競技規則には
・ボールが、ゴールポスト、クロスバー、審判員もしくは相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきた。
出典:JFA公式ホームページ|競技規則
というように明記されています。確かにE・ガルシア選手は明確にボールにプレーする意思を持っているため「相手競技者から跳ね返った」には当てはまらないと言えるでしょう。
しかしこれでは相手選手が自分と並走していて、その選手にオフサイドの可能性がある状況で相手選手にパスが出た場合、確実にインターセプトしてボールをコントロールできるという確信がない限りボールにチャレンジできなくなってしまいます。
もし逸らしてしまったら、少ししか触れなかったらということを考えたらインターセプトよりも相手選手を追うことを優先するのではないでしょうか。
今回のシーンでもしオフサイドを適用するならば次のルールが適用されるでしょうか。
・ボールに向かうことで相手競技者に挑む。または、
・自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える。または、
・相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる。
出典:JFA公式ホームページ|競技規則
もしムバッペが裏へ走っていなかったらと考えると、E・ガルシアはスルーしてウナイ・シモンがキャッチしていただろう。そう考えると上の競技規則の「自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える。」に当てはまるのではないでしょうか。
ですが、現行のルールでは基本的にこのようなシーンではオンサイドとし、ネーションズリーグのみならず、プレミアリーグやラリーガなどでもオフサイドの反則の対象には含まれないため、主審やVARの判断は正しかったということは間違いないでしょう。
終わりに
プレミアリーグやその他リーグでもこのようなシーンは多く見受けられ、近年のルール改正ではサッカーの面白さを追求するため、オフサイドのルールは度々改正されてきましたが、オフェンス側に有利に働くよう、出来るだけゴールが多く生まれるような、エンターテイメントとしてのサッカーという面が強くなりつつありますが、ゴールが多く生まれることがスポーツとしての成長に繋がるのか、難しいそのバランスの中でどこに落ち着くのか、サッカーをルールという面から見てみるのも面白いかもしれません。
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