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ミカエルの鼓動 柚月裕子


あらすじ

心臓外科医の西條は医療用ロボットミカエルを使用した手術の第一人者だった。勤務する北中大病院では院長補佐の職も兼任しており、院長曾我部の信頼も厚い。しかし、曽我部は突然、ポストの空いた循環器第一外科科長にドイツから真木という医師を迎えると宣言する。
積極的に受けていた取材も曽我部の意向ですべて断ることになり、西條は曽我部に不信感を抱くようになる。


ここからネタバレ含む感想

医療用ロボットミカエルの第一人者としてゆくゆくは北中大学病院の病院長のポストも約束されていると思っていた西條だったが病院長が突然別の心臓外科医の真木を抜擢したことから不信感を募らせる。
曽我部の手のひら返しの真相は何か探り始めた西條は広島の広総大病院でミカエルによる手術を担っている布施が突然辞職したことを耳にする。
医療業界の社会派小説のような作品で、医療用ロボットミカエルを巡る事件を描いている。野心を持ちながらも腕も一流の西條の語りで物語は進んでいく。北中大病院の売りだったミカエルに誤動作が起こったことからこれを隠ぺいする人々、その誤動作で人生を狂わされていしまった人、そして、その誤動作を知らずにミカエルを使っていた人、それぞれの思惑が描かれるが野心家に見える西條も実は、心臓病で父を亡くし、貧しい村出身で腕一本でがっていく、また西條のライバルとして登場する真木もいろいろな人生を乗り越えて現在に至る。二人の医師の志は同じくらい高いのだが、それを取り巻く周りの動きに流されて西條はすべてを失ってしまう。
エピローグは西條の再生の兆しが描かれているので続編があれば新たに道を切り開いた西條の物語が読めるのではないかな…と感じました。

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