記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ウツボカズラの甘い息 柚月裕子


あらすじ

主婦の高村文恵は趣味の懸賞で人気男性タレントのディナーショーのチケットが当たった。夫の勧めもあり一人でディナーショーに出かけた文恵は中学の同級生杉浦加奈子と再会する。加奈子は化粧品の販売会社を経営していた。その加奈子から仕事の手伝いを頼まれるが…。


ここからネタバレ含む感想

語り手は二人、一人は主婦の高村文恵、昔はほっそりしていて華やかだったが現在は太っていて、解離性離人症という精神疾患を患っているそんな文恵が久しぶり再会した加奈子から仕事の手伝いを頼まれてかつてのように痩せて美しくなり、仕事も順調に進んでいく。
もう一人の語り手は、神奈川県警本部捜査一課の刑事、秦圭介。秦は貸別荘で殺害された田崎実という男の捜査にあたっている。調べてみると田崎は怪しげなビジネスを行っていることがわかる。株式会社コンパニエーロの社長をしていたようだが会社の住所になっている事務所へ行くとすでに事務所は引き払われた後だった…。
時間軸がずれているので同時進行に起こっているわけではなく文恵の語りよりかなり後の時間で秦の語りが入る。名前は違うが被害者の男性が双方の話の中に出てくる人物に重なってくる。
殺人事件の方は、サングラスの女の目撃証言が出てくる。文恵の語りを読めばサングラスの女は加奈子と推測できるが、秦側の捜査では加奈子は登場しない。そこが、ミステリー仕立てになっている部分で、果たして加奈子は何者なのか…が事件の真相に関わってくる。
物語のは文恵と秦が入れ替わりで語るが最後の章は真相編になっていてこれまでの秦の捜査した事件の真相が出てくる。なかなか重苦しい物語が展開される。
少し重みのある物語なので心に余裕のある時によむことをお勧めします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?