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いつかの岸辺に跳ねていく 加納朋子

あらすじ

幼馴染の森野護と平石徹子は母親同士仲が良かったため小さなころから一緒に遊んでいた。護から見ると徹子はときどき不思議な行動をとる少し変わった女の子だった。それでも徹子は優しくまじめで、誰にでもフラットに接していた。

ここらネタバレ含む感想

護が語りをつとめるフラットと徹子が語る後半のレリーフの2部構成のお話、前半のフラットは護の目から見た徹子が語られ、誰にでも優しいけれど誰とも深くかかわろうとしない徹子が高校に入ってか唯一仲良くなったのがメグミちゃんだった。ちょっと変わっているけどどこにでもいそうな優等生で地味な女の子として徹子が語られる。
後半は、徹子が語りつとめるレリーフ、レリーフの意味は「浮き彫り」なので護から見た物語が極表面から見たフラットな話で、徹子の語りはその奥に隠れていた物語が浮き彫りになっていく。フラットとレリーフ交互に読んでみると同じ出来事でも全く異なる様相を呈してくる。このあたりの入り組みかたや伏線の張り方はさすが加納さんと言いたくなるくらい緻密でグイグイ引き込まれるような感じがありました。
ただ、徹子の語りはとにかく切ない。徹子は何故、ここまでいろいろなものを背負わなければいけなかったのか…という気がしました。それでも、最後は幸せにまとまっているので巻き返しで大団円まではなかなか痛快なお話でした。最後まで、そこがそこにつながっているのか~と感心させられます。

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