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amazarashi Live Tour 2023「永遠市」11.25 東京ガーデンシアター ライブレポートのようなもの

全曲ではないのですが、一番好きなアーティストのライブに行ってきたので、ライブレポート……のようなものを書いてみました。特に忘れたくないって思ったところはしっかり書き留めておきたいなって。

5.14歳
「楽しくないけど笑ってみた それでも僕等空っぽだから 今すぐ何かを始めなくちゃ それなら僕は歌を歌うよ」
「それでも」に直接、希望っぽい言葉が続く曲が多いイメージだったけど、この曲の「それでも」は一味違って、その先の「それなら」なんだなぁって、私には新鮮だった。
傍から見たら筋が通ってなさそうでも、いろんな人が自分なりの「それなら」を見つけられたら、それで充分なのかもって思った。

6.無題
「永遠市」アルバム一番最後の「まっさら」っていう曲で、人生のことを(?)「描きなおせない絵画か 消しゴムのない長編小説」ってたとえてるのが印象に残ってて、だから、絵描きが主人公の長編小説みたいなこの曲をこのライブで聴けたのは、ちょっと本当に綺麗だった。
「今すぐ何か遺さなくちゃ それなら僕は」の後に「絵を描くよ」が続く人もきっといる。
空っぽじゃないから、空っぽじゃないって証明するために、表現しているようで、でも結局空っぽだって時、「それでも」ってところにこそ必要なものでもあるようで、「表現欲」って不思議……。

7.つじつま合わせに生まれた僕等
この曲にも「絵描き」が出てくる。「詩人」も。うまく言えないけど、物語とか、何か創作する時に必要な「辻褄合わせ」がすごく大事で、そこと向き合ってみると、自分自身の生きている場所をこの曲みたいな感じで受け止められるようになったりするのかな、なんて思った。
ライブ演出で「僕等」が色んなフォントで出てきたのが面白かった。

9.君はまだ夏を知らない
ちょっと分解される感じで出てきた「悲」が、「非」と「心」で出来てるってこと、とっくに知ってたはずなのに、やけに新鮮だった。
「思い出と未来が同居して」って言葉、とても素敵。ライブ演出で言葉が形になって、「同居して」っていうのを実感できたのがよかった。

10.月曜日
学校のチャイムみたいな音で、すぐにあ〜月曜日だ!って、大好きな曲が始まる!って嬉しくなった。
ほんの少しだけ、月曜日が来てほしくないような気持ちでいたから、元々は「なんだか不思議で面白い組み合わせだなぁ」ぐらいにしか思ってなかったサビの「月曜日、蹴飛ばしたら」って言葉が初めて、本当にそのまま、まっすぐ、切実なものとして響いてきた。胸の内で凝り固まっていた何かが、ほぐれたというか、溶け出したというか、吸い上げられたというか、自分でも少し戸惑うような身体感覚で、聴けてよかったって思った。
「君はまだ夏を知らない」からの流れが綺麗だなって、後から気づいた。別の物語だけど、「いつの間にそんなに大人びて笑うようになったのさ」って、ちょっとさっきの「君」の未来っぽい。「季節が留まり永遠ならいいな」って歌った後で「永遠なんてないと知って誓った」って出てくるの、なんだか優しい気がする。
『月曜日の友達』って漫画の主題歌なんだけど、「確かに似た者同士だったけれど 僕ら同じ人間ではないもんな」って言葉で描ける関係性、その「友達」とはまた違った新しいものが見えてきた。自分以外の作品との関わりの中で生まれた言葉が、自分の新しい言葉とつながって広がっていくなら、本当に素敵なことだなぁって思う。

11.海洋生命
初めて聴いた時、今まで聴いたことのないような声で歌ってる、何だこの曲は……!って思ったのをすごく覚えてる。
苦しそうに掠れてる?声、ギリギリの時っぽい息遣い、「喘鳴」って言葉が出てきた時にはっとした。息苦しさそのものを声にする、苦しいって音を聴き取ってその息遣いを再現する、その過程で生まれた言葉をつなぎ合わせて出来た曲なのかなって思った。実際どうやって作ってるかは知らなくて、もしかしたら言葉が先かもしれない……。
声と言葉がどんな風に影響を及ぼし合うのか、声も言葉も出せないって時の身体に、声と言葉が、どこまで近づいていけるのか、興味が湧いた。

15.美しき思い出
忘れたいこと、忘れたくないこと、同じような重みで大切にできそうになる曲。ライブでは原曲と違って最後に「忘れたいこと」の方をたくさん積み重ねてた。たとえ忘れたいことばかりだったとしても生きられそうで、心強かった。

16.ごめんねオデッセイ
「永遠市」の中で一番好きな曲。いつやるんだろう、もしかして今日はやらないのか……!?なんてちょっとハラハラしてた。
前のアルバムでは名曲を作りたいって思ってたけど、今はもっと音楽と向き合えてる、一生音楽をやっていく入り口が見えた、残り2曲はそんな曲ですって、確かそんなMCの後にこの曲がきて、あ〜大事な曲なんだろうな〜って嬉しくなった。どこに行き着くんだろうってワクワクする曲。「これまで」があるから出てきた言葉があって、面白がれる音があって、じゃあこの先はどんなものに出会えるんだろうって。力強いポエトリー、本当にかっこよかった。

17.アンチノミー
このライブが、「感情は持たないでください」って歌詞で終わるとは思ってなかった。感情を絶対に捨てきれないって、そういう声で、苦しそうで、それから、あなたにも「それなら」に続く大事なものがぜったいにあるはずだって、そんな風に叫んでくれているようでもあった。

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