見出し画像

【橋の日】スミダ・ブリッジを愛せ!!

はじめに


 隅田川といえば花火大会……という方が多いかと思います。それは正しい。しかし、私にとって、隅田川といえば、

 「橋」

なのです。
 
 上流から下流にかけて、色も形も様々な橋が競演しています。さながら美術館! それをタダで見、あまつさえは写真撮影も触ることも可能なのですから、素晴らしいことこの上ない。
 花火大会や、天気予報でのカメラ映像に隅田川が映る時、私はいつもしっかりじっくり橋を見ます。普段は上から見れる機会が少ないからです。ありがたいことです。

 というわけで、本日橋の日(8/4)、私が愛してやまない隅田川の橋をご紹介したいと思います。
 最後には、個人的にオススメな鑑賞方法をお伝えします!

※基本的には写真付きでお送りしているのですが、一部絵で代用している橋があります。
 本当は全て写真にしたかったのですが、この暑さの中橋巡りをするのはなかなかハードで……。また、撮った記憶はあるのに、容量の問題で写真フォルダから消えていた橋もあり、非常に無念です。写真を撮ったら、ひっそり差し替えます。



 それでは、隅田川上流からスタートです! 

①千住大橋

千住大橋

 まずは、千住大橋です。
 見てください、この迫力! この大きさ! 重厚でありながら、色味もあってか爽やかな印象もある不思議な橋です。橋の入口の、黒地に金の「大橋」もいい感じ。アーチの曲線と角ばったフォルムとが混じり合った、とてもかっこいい橋です。
 近くには、松尾芭蕉の「奥の細道矢立初めの地」という碑もあり、はじまりの橋としてはぴったりです。
 形状は、後述の白鬚橋に少し近いでしょうか。よく見ると、二重のアーチが見えます。この構造、レースのように繊細で好きなんですよね……。全体としては四角い感じの橋なのですが、アーチも組み込まれているので、とても面白い構造だなあと思います。



  

②千住汐入大橋

千住汐入大橋

 大きなビルと広々とした川面に横たわるのが、千住汐入大橋です。
 イメージが、豊洲大橋(名前の通り、豊洲にかかっている橋)に近いです。あれも、マンション群の中に横長の橋がかかっているので。
 上流は比較的穏やかで、川面が広いです。そして、汐入大橋のあたりで、大きなカーブがあります。そのため、急に方向を変えた河川敷を歩いて行った先に、この橋が悠然と構えているわけです。最高ですね。
 このようなシンプルな構造の橋は、「桁橋」と言われます。橋桁だけということです。隅田川の中でも比較的新しい橋ですが、渋さと味わい深さを併せ持つ橋だと思います。


③水神大橋

水神大橋

 これだけ晴天が似合う橋も無いのではないか、というくらい、青が映える橋です。構造はシンプルでありながら迫力があります。遠くから見ると、なんだか後ろブリッジをしている人の形に見えたりもします。
 吊材(橋を支える部分)が、アーチと違うタイプなのが面白いですね。青くずっしりしたアーチと、×の形で組まれた細い吊材。メリハリがきいていて、芸術点の高い橋です。
 この辺りは本当にのどかです。広い河川敷と側を走る首都高速の中にそびえる、水神大橋の迫力ったら! 隣(といっても結構な距離がありますが)の白鬚橋とはまた異なった、シンプルで高潔な感じの魅力があります。橋の影がパッキリしていて、大変良いですね。


④白鬚橋

白鬚橋

 本当に、心の底からかっこいいと思う橋です。両手を伸ばして座るスフィンクスのような迫力があります。二重のアーチで構成され、その間をトラス構造(三角形を用いた構造)が埋めている。繊細で力強い! 遠くで見るより近くで見ることをおすすめします。とにかく、橋を目の前にした時の迫力がすごい。正面から見ると、巨大な門扉のように見えます。
 スカイツリー、ガスコンビナート、首都高速。この辺りになると、橋の背景も増えてきます。橋の構造を額縁のようにして楽しむ景色がまた、最高なんです。その額縁が細やかなものですから、逆光になった時も綺麗。何度見ても飽きない橋です。これをデザインした方は本当にすごいと思う。あまりにもかっこよすぎる。


⑤桜橋

桜橋

 白鬚橋から1キロほど歩いたところにあるのが桜橋です。Xの形が特徴的な橋で、隅田川花火大会第一会場のすぐそばにあります。花火大会でX型の橋が映ったら、まず桜橋で間違いありません。この独特の形が好きなんです。X型の橋は、隅田川には他にありません。東京では、小名木川クローバー橋などがこの形状をしています。
 正確に言えば、カクカクしたXではなく、数学でノートに書くような丸っこいエックスのような形です。そのため、橋の上を歩いていると、そのカーブを感じ、曲線美たるや! と思わせられます。Xの二つの棒の交点にある、円錘のオブジェ(?)と、カーブの形状的な違いが面白い! 遊び心に満ちた橋だと思います。
 

⑥言問橋

言問橋

 東京スカイツリーを臨む場所にかかっているのが言問橋です。直線的な、シンプルな構造をしています。その分、橋からの景色は大変見晴らしがよくて良いのです。吾妻橋は混んでいるので、実はこの橋からスカイツリーを見た方が、ゆったり眺望を独占できます。かもめが飛んでいるのをのんびり眺めたり、きらめく水面を眺めたり。 吾妻橋より先の橋も、いい橋ぞろいなんだぞ! ということを定期的に言い続けたい。言問橋以降の上流の橋は、橋と橋との間隔がかなり空いているので、一つ一つの橋をしっかり楽しめます。言問橋はその序盤として、ずっしりと構えています。


⑦吾妻橋

吾妻橋。全身を映した写真は、工事中のものしかなかった……
それはそれで貴重……

 皆大好き、浅草の赤い橋です。雷門を思わせる鮮やかな赤で染まっていて、浅草の活気を感じます。スカイツリーとアサヒビールの建物が一緒に見えるので、よく橋の上で観光客が写真撮影をしていますが、吾妻橋もしっかり撮ってくれ! という気持ち。以前行った時、橋の欄干に真っ白なカモメが乗っていて、橋の色とのコントラストに悶えました。 
 吾妻橋は橋桁の下にアーチがあって、これが水面に映ると、とてもきれいなんです。空が青い日だと、水面も青く、そして橋の赤が投影されるものですから、コントラストが大変良いものとなります。浅草に来た時には、ぜひ上だけでなく下も見てみてください。


⑧駒形橋

駒形橋

 隅田川の中でも、比較的王道の形状をしたアーチ橋です。とはいえ侮るなかれ、アーチとアーチをつなぐ構造の細やかさを。小さなトラス構造がたくさんあるのがおわかりいただけるかと思います。近くに寄って、じっくり見たくなる橋です。
 そして隣の橋とのコントラストも魅力。上流側は赤い吾妻橋。そして下流側は緑色の厩橋。三連アーチの厩橋、一つのシンプルなアーチの駒形橋、橋桁の下に三連のアーチを構える吾妻橋。この辺りはアーチの宝庫です。そんな中でも、王道には王道の良さがあります。清楚でありつつ、どっしりと構えているのが駒形橋です。


⑨厩橋

厩橋。駒形橋から見た図。

 形状が非常にユニークな橋です。この三連が目を引きます。それでいて、吾妻橋と対になる形状(吾妻橋は橋桁の下に三連のアーチ、厩橋は上に三連のアーチ)をしているものですから、キュレーターが絵をうまく配置した美術館のようです。
 橋のたもとには首都高速(写真では左)が通っていて、そのどこか不規則な曲線と、厩橋の均整のとれた曲線とを比べるのも大変良いです。どちらにもそれぞれの良さがあります。中流の橋にも、遊び心がありますね。橋の間隔が比較的近くなってきているので、見比べながら歩くことができます。


⑩蔵前橋

蔵前橋(の絵)

 写真フォルダがいっぱいになりすぎて、写真が消えてしまった、悲しみの蔵前橋です。黄色が目印。普段から黄色いのですが、ライトアップも黄色なので、夜は黄色味がマシマシになって大変良いです。形状が似ているので、吾妻橋とニコイチという風に思っています。何だそれという話ですが……。
 個人的に、下からのアングルが好きです。直線の鉄鋼がグワッと迫り来るように並んでいて、とにかく見ごたえがあるんです。下にアーチがあると、その曲線美を頭上に見ることができるので、とにかく大迫力です。
 こちらの橋は、総武線の隅田川橋梁から見えます。


⑪両国橋 

両国橋(の絵)

 またまた絵で大変恐縮ですが、次は両国橋です。こちらの橋も、総武線から見えます。
 下にアーチがある橋は、比較的上部が空いている感じがするのですが、この橋の特徴的な照明が、橋桁の上部の空間を有効活用しているように思います。少し江戸っぽさがあるのもよい。橋の途中に、バルコニーのような空間というか、少しせり出した部分があるのですが、それがある橋が好きです。川の上に立っているような気持ちを味わえて、とても楽しい。
 


⑫新大橋

新大橋

 次は、オレンジ色が眩しい! 新大橋です。
 見事なまでの直線構造です。気持ちいいくらいです。オレンジの部分はけっこう高さがあって、ここに登って景色を見下ろしたら、橋はどう見えるのかなと想像したことがあります。
 この橋は下流の橋では珍しく、比較的隣の橋との距離があります。その分、存在感が物凄いです。見えてきた瞬間、「あ、見えてきた!」となります。シンプルだからこその力でしょうか。現代アート的な橋だなと個人的に思っていて、デザインに振り切っているというか、見ていて面白い橋です。明太子のかねふくとセットで認識しているので、それも含めて新大橋の風景、という感じがします。
 昔はまったく違う四角いフォルムをしており、その様子が川瀬巴水の版画に描かれています。


⑬清洲橋

清洲橋

 こちらも川瀬巴水の版画に、しかも現在と同じ形で描かれている、歴史ある橋、清洲橋です。
 こんなに綺麗な形状、あります? もう芸術品です。このデザインを考えた方に乾杯。メインケーブルのしなやかな曲線、その中継地点である主塔に施された、神田川の聖橋にも似た無駄のないデザイン。そして鮮やかな青。少し前に、ライトアップが白に変更されたようで、ますますその美しさが際立つ結果となりました。
 隅田川には、吊り橋はほとんどありません(あとは中央大橋)。それもあってか、凄まじい存在感を放っています。近くで見ると、とにかく大きいんです。ケーブルの曲線が迫ってくる感じ。遠くから見るのも、実際に渡って楽しむのも、どれも大満足の橋です。


⑭隅田川大橋

隅田川大橋

 首都高速と重なり合うようにしてかかった橋です。高速のアスファルトの、暴力的なまでにシンプルな美を、頭上でいかんなく味わうことができます。
 さらに、この橋はポジションが最高なのです。隅田川下流の宝石・清洲橋、そして名高い永代橋と中央大橋を左右に拝むことができるのです。橋好きにはたまらない、最高のフォトスポットです。隅田川下流を一望したいのなら、間違いなくここは押さえておくべきでしょう。


⑮永代橋

永代橋

 名前は聞いたことがある、という方も多いはず。異論はあれど、隅田川と言えばこの橋、永代橋です。江戸時代から存在し、赤穂浪士が渡った、花火大会の時に落橋して大変な騒ぎになった、など様々な逸話を持っています。
 水色のシンプルなアーチが、隅田川の下流を彩ります。この力強さったら。もう堂々としています。この辺りは背景にビルがかなり増えるのですが、全く負けていません。むしろ、ビルを引き連れているのではないかというほどのパワーを持っています。さすが、長い歴史をもつ橋の底力なのか……。
 個人的には、橋の入口部分についている、信号のようなものが好きです。「〇」と「×」で、通れる道路とそうでない道路を表示しているのですが、その標識が得も言われぬ味を出しているんです。かわいい。


⑯中央大橋

中央大橋

 先程の写真で背景に映っていたのが、中央大橋です。とにかく縦に長い!細く見えるケーブルも、近づいてみるとかなりの太さで驚きます。これが、この橋を支えているのか……。
 この橋に見覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、『三月のライオン』に登場しています。主人公である零くんが渡っているのが、この中央大橋です。聖地巡礼としてもとても印象的ですし、橋単体として見ても、非常に魅力的だと思います。なにせ、高いビル群の一員としてそびえるようにして立つ白い橋の美しさ! 永代橋とはまた違った存在感を持っていると思います。下流も個性的な橋がたくさんあって、本当に楽しいんですよね。


⑰佃大橋

佃大橋(の絵)

 シンプルで、おおらかさを感じるような橋です。まとめていて思ったのですが、隅田川には、結構この形状の橋が多いですね。造りやすさ、利便性などを鑑みての判断なのでしょうか。
 この辺りは、汐留の少し手前で、ビル群が一旦落ち着く場所です。それに合わせるように、ほっと一息つかせてくれるというか、優しい穏やかな雰囲気を持っている橋だと思います。最下流の橋は、良い意味で曲者ぞろいですからね……。


⑱勝鬨橋

勝鬨橋


 昔は跳ね橋だったという、異色の経歴を持つ橋です。要するに、船を通すために、扉を開けるようにトランスフォームしていたというわけです。今はやっていません。生で見たかった……。
 とはいえ今の姿も最高です。錆色が興を添える鉄鋼のアーチ。年季が入った、石造り部分の重厚さ。この橋がかつて稼働していたという歴史を感じさせるとともに、それを想像しながら歩くだけでぞくぞくします。昔はこの橋が最下流だったので、いかにも砦のようだったろうと思います。絶対に守ってくれそうな安心感と、どっしり構えた安定感がある橋です。これが、現代的なビルディングの中に屹立しているのがたまりません。師匠か先輩とお呼びしたい。


⑲築地大橋

築地大橋


 トリを飾るのは、一番新しい橋です。歴史ある橋の隣に、新しい橋が並んでいるというのが、もう既に最高です。そんな築地大橋ですが、これがかなり個性的なんです。
 写真をご覧ください、この傾き。逆ハの字に開いているのです。写真で見るより、想像以上に傾いており、実物を見た時にはとても驚きました。現代アートのよう! 近くで見ると、アーチのカーブがさらに鋭く感じられ、もはやえぐってくるような角度に思えます。かなり革新的で、面白い。デザインです。基本的に、橋は橋桁の幅内に収まっているイメージが強かったのですが、それを壊してきたというか、チャレンジングなことをしてきているなあという感じです。新しい隅田川を象徴しているようで、現代的な東京にマッチしているようにも思います。



おまけ

豊海橋

 厳密に言えば隅田川の橋ではないのですが、紹介させてください。
豊海橋」。
 場所としては、永代橋のすぐ近くにあります。ちまっとしたかわいらしい橋です。
 本当にかわいいんです。
 まるっこいフォルム、永代橋に比べるとずっと小さいサイズ感、そして白と青で構成された、シンプルかつ洒落たデザイン。ヨーロッパあたりの建物と窓みたいだな、と思います。とにかくかわいいんです。
 もし永代橋を訪れたら、必ずチェックしてみてください!


おすすめの鑑賞方法

 個人的な鑑賞方法。それは、「斜めから見る」ことです。
 つまり、渡り始める前に、歩道の柵寄りの位置から橋を眺める、ということです。
 ここで、永代橋を例に、様々な方向から見てみましょう。

 横から

まずは王道、横からの写真。アーチの全景を見ることができます。 


正面から

次は正面。安全に気をつけてご覧ください。アーチの端の曲線美が印象的です。


斜めから

 そして斜め方向。
 とにかく、迫力がすごい! アーチのカーブがより急角度に見えるからでしょう。それによる印象の変化がたまりません。
 また、この方向から見ることで、橋の名前を記した金属板とともに橋を眺めることが可能になります(端によりけりですが)。基本的に、一方はひらがな、反対側は漢字で橋名が書かれているため、両方の方向から楽しむのもオツです。橋を見る楽しみは、一方向から見るだけにあらず。
 とはいえ、見方はそれぞれ。ご自分の好きな見方を見つけてみてください!


おわりに

 というわけでお送りしてきました橋特集、いかがだったでしょうか。少しでも、隅田川の橋の魅力をお伝えできていれば幸いです。橋の日にぎりぎり間に合ってよかった!
  最後にクイズです。この記事の表紙になっているのは、何という橋でしょう? この記事を最後まで読まれたあなたなら、きっとおわかりになるはず!

 ご覧いただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?