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韓国人の投資事情&とある在韓邦人の「ク〇ダサい^^」株式投資談

 ようやくパンデミックの終わりが見えてきたかと安堵していた、世界中の雰囲気を一転させるような南アフリカ発「オミクロン株」のニュース。ここ韓国でも陰鬱な話題となっています。特に「ウィズコロナ」政策を進めた結果、重症者、死亡者の数が増加している現在の韓国ですから、心理的に追い討ちをかけている状況に。このような集団心理に一番影響される場といえば、やはり株式市場ではないでしょうか。

 今回は、韓国人の投資事情について、在韓邦人である私の投資体験を交えながらお話していきます。


お金持ちになろう

 「ブジャ デセヨ^^」(訳:お金持ちになってください^^)こんな挨拶表現が、韓国にはあります。日本だと「必要以上に裕福になろうとする」行為自体に否定的な価値観を持っている方々も少なくないでしょう。しかし、それは他民族から侵略され財産が略奪されるような危機が少なかった島国民族ならではの考え方だからなのかもしれません。韓国人は、「ひと財産を築くこと」に肯定的な価値観をおいているということが、この挨拶から窺い知ることができます。

 そんな韓国人。関心のない人がいないほど、大勢の方が「投資」に関心を持っています。韓国あるある投資といえば、やはり不動産投資です。

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韓国あるある都市風景 高層アパート群 

土地だけでなく、アパートなどの共同住宅もその対象に。日本であれば、大抵の居住空間は購入したとたん価値が下がりますが、韓国では、立地、利便性、校区などの条件によっては大きく値を上げるため、不動産投資で一儲けしたよという人は結構います。

 しかし、韓国でも深刻になってきている少子化や都市集中している現在の状況を鑑みると、ソウルなど大都市の一部の地域を除けば、間違いなくリターンが期待できるような、魅力的な投資法ではなくなるだろうということ。(これは不動産取引を生業としている韓国の友人に聞いた話です) それでも、人脈が広く新しい情報に通じやすい、なおかつ高額投資できる余裕のある方々は不動産投資に積極的に参加しているようです。

 不動産投資?ムリムリ!お金がない;;という方々の中で広く浸透しているのが、日本でも注目されてきている株式投資です。もともと金融リテラシーの高い方々は、株式投資を銀行預金するように普通にしていました。しかし、ここ10年ほどで、その範囲が一気に広まっていった感じがしています。その背景のひとつには、目に見えて分かるほどの物価上昇による貨幣への信頼度の低下があります。

 経済の発展に伴うインフレ現象といえば聞こえは良いですが、韓国で、シュールな笑いネタとしてよく言われる「上がらないのはダンナの給料と子供の成績だけ」から察することができるように、支出はどんどん大きくなるのに、それに収入がついていかないのです。

 ウォンを後生大事にしていても、その価値は下がるばかり。そこでインフレに勝てる株式投資を選択する人が増えてきています。最近、若い人たちの間では仮想通貨もその選択肢のひとつとなっているようですが。

 実際に目にしてきたのは、、地下鉄の中で株式アプリをいじっている年配の女性、大学の授業中(私の授業中に堂々と!!怒)株価をチェックしている学生、証券会社の窓口にて子供名義で株式口座を開設するお母さん。そして、英会話教室にて、購入株の暴落を嘆くおじさん(この方は大企業に勤めている方なのですが、会社から無利子で1億ウォンまで借りることができるそうで、そのお金で株式をされていると話していました。)

 カフェで人に会えば、一度は出てくる株式の話。お世話になっている整体の先生も例外ではなく、そこで密かに株情報を聞き出している私(笑)。そこかしこ株にまみれているのです^^

 「株式投資していますか?」こう韓国人に尋ねれば、「しているよ」または「したことあるけど、儲からずにやめたよ」という方々が多数です。

どこに投資しているのか??

 日本の株式とは違い、1株からでも気軽に購入できる韓国企業の株。経済発展著しいダイナミックな値動きをしますから(韓国は全てにおいてダイナミック^^)、デイトレーダーのように売り買いを繰り返す手法をされる方が多いようです。これから成長期待できる業種の株を購入し、注目され始め値が一気に上がれば、パッと売る。それができれば、そりゃあ、大学の授業なんか聴講してる場合じゃないな(笑、密かに根に持っている)。しかし、その波も思い通りにいかないもので、大きく損をするケースも多々なのです。

 とある韓国人の株式専門家が韓国株式について厳しい見方をしていました。

短期的に見れば勝算のある企業はたくさんあるかも知れない。しかし、10年、20年の長いスパンで見ると、生き残れる企業は数えられる程度しかない。そう考えると韓国株式は資産として持っておくにはあまり向かない。資産として長期保有を考えるなら、米国株式の方が良い。

 そして、これは日本企業と状況は似ているかもしれません。米国企業のように株主をあまり大切にしないという特徴もあるとのこと。こういったことから、最近では、国内の株式から米国やベトナムなどの新興国へ投資の比重を増やす人が増えてきていますし、あと仮想通貨の方にも注目が集まっています。

 多くの韓国人が関心を寄せるセクターですが、目立った値動きをしない超安定高配当モノより、高成長が期待できる株価自体が大きく値動きするモノ。ハイリターン・ハイリスクとは、韓国でもよく言われますが、リスクを抱えてでも、それでも積極的に買いに向かう方々が多いのは、大きい財産を築くことに重きをおく韓国人の国民性ならではのこと。米国ETF投資だと、テスラなど複数の高成長企業に分散投資できるQQQなどが人気筋。(私も何回か薦められましたが、値が高くなりすぎて買えん;;)

韓国個人投資家の情報源

 韓国最大の検索エンジンサイトであるネイバー。そこには、誰でも無料で気軽に作れるコミュニティーサービス「カフェ」や「バンド」があります。株式に興味のある人々が集うカフェには、多くの玉石混交情報が集まり、有益か否かを見極める力が必要となります;;あとは、経済界や企業の内事情に詳しい方々(いわゆる社会的な地位が高いといわれる人たち)が集まる場(ゴルフ場など)にて情報を得る方達も。

 そして、最近注目されているのは、やはりYouTube。毎朝、ライブ放送で株式(米国株も含めた)ニュースを提供している「サンプロ(삼프로)テレビ」。チャンネル登録者数は161万人で、ライブ放送には、だいたい5万人が視聴しているとのこと。もし、韓国語学習者の方で株式にも関心をお持ちの方には、おススメ^^韓国経済のホッカホカな話題も入手することができます。司会担当である、株に詳しいオジサンと株式初歩のオジサンのいろいろ本音トークもなかなか面白いです。


私の場合

 私ですか?夫のすすめで、一応細々とはしています。まとまった投資金もないので、まあ趣味程度というか;;2018年から韓国株式に参戦。米国の方は去年からで始めたばかり。これからは米国の方にその比重を増やそうと思っているところです。配当金や利益にかかる税金が国内株式より高めなのは、日本にて行う株式投資と変わりありません。

 私は韓国の証券会社を利用していますが、日本にも証券口座を持っているので、2か国にて米国株式投資が可能か訊いてみたところ、税金の問題があるため不可能ということでした。窓口の方は、日本でもしたいなら日本株式なら可能だと教えてくれました(邦人で関心お持ちの方参考にしてください^^)。

 韓国企業や経済の動きに関しては全く無知といえる私。(もともと経済の流れに関心を寄せるタイプでもなかった)最初の頃は、投資の先輩である夫のすすめである「サムスン電子」、「メッコリーインフラ」(インフラ会社)「シニョン証券」の3つに投資してみました。(参考になさる人がいるかな??それでも構いませんが、ご自身の責任でお願いいたします。)

 サムスン電子は、ご存じあの「サムスン」の半導体部門。「サムスン財閥が潰れたら韓国はおしまい」と言われるほど、広~く深~~く韓国人の生活に浸透してしまっているので、手堅いところでしょう。株は配当付きでなおかつ成長も見込めるので、安定株でまあまあ人気があります。

 「メッコリーインフラ」は、インフラ系の会社で成長はあまり見込めませんが、超安定した収入源に因る高配当が人気の株です。夫いわく別名「現金」。債権のような動きを見せ、激しい値動きはほとんどないですが、堅実に株価を上げています。市場の暴落局面などで、「買い場」として投資したいのに、手持ちの現金がない。そんな時に高値となっているメッコリーを売って成長株に投資するんだそう。そして、購入した成長株が十分に成長したところで売り、それを再度メッコリーに投資し高配当を享受する。そんなことをサクサクっとやりのけることができればいいのですが、、私にそんな器用な芸当は難しいのです。

「シニョン証券」は、その名のとおり証券会社ですが、ここも株価に比して配当良しなところだそう。

 ということで、少ーしずつ手持ちのお金を投資(といえる程の額じゃないとことが悲しい^^)してきました。配当金も少ーしずつは入ってくるようになったので、今度は自分で好きな企業に投資するぞ!!!という虚勢が芽生えはじめたのが運の尽き。

マイナスの手

いざ!韓国株投資;;と言っても、私の情報範囲なんて、たかが知れてるわけで、、、その中で注目したのは?? 

私が日本行でよく利用していたLCCジェジュ航空。

 韓国の沖縄と呼べるような、高級リゾート地であるジェジュ島までの国内線を主に、日本や東南アジア国際線も扱っている観光系LCCです。私が利用する釜山ー福岡線も最安レベル。応援したい気持ちもあり100万ウォンぐらい株式を買ってみました。当時、一株50000ウォンほど。しかしタイミング悪すぎた;;ご存じパンデミックで観光業セクターの株価は惨憺たるものに。ただいま16000ウォンほどの値となっています。

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今回のオミクロン暴落で、さらにマイナスとなってしまう

 これは一例で、私が投資した株式はかならず値を下げるというジンクスが生まれました。韓国ではこういう人のことを「マイナスの手」と呼びます^^この表現には「先見の明がない」「ツイていない」というニュアンスが含まれています。

ちょっと、脇道にそれますが、、、

 この表現は、もともとは事業の世界で使われていたようです。「マイナスの手」で、有名なのは、現在のサムスン財閥トップ、イ・ジェヨン氏。韓国国内では、サムスンを大きくした先代、先々代のようなカリスマは、あまり感じられず、「ボンボン」的なイメージが拭えていない方です。そんなイ・ジェヨン氏が手をつけた事業は、成功したためしがないそう。彼は「マイナスの手」だというのが大方の韓国人の一致した見方。;;この方、知的で穏やかな感じが、私は好きなんですが^^まあ、甘いマスクでビジネスはできませんから。伝わってくる噂によると、イジェヨン氏のお姉さまがビジネスにおいて「やり手」だとか。

膝で買って肩で売れ

 ここ韓国では、株式売買の教訓として言われている表現ですが、他の国にもこういう教訓みたいなのがあるのかな?株式投資をされたことのある方なら、この表現にどんな意があるのかピンとくるのでは?

 底値で買おうとするな。底値から少し値を上げたところで買え。

 天井値で売ろうとするな。天井値から少し値を下げたところで売れ。

 以前、「売りたいなら、天井値から25%値を下げたところで売るルールで売ってください」という日本人投資家のお話を聞いたことがあります。そのルールに通じるものがあるのかなと思いました。

 株式売買の場であらためて明らかになる自身の「貪欲」さ。良きことでありますが、その「貪欲」さ故に、損することにもつながるのが、株市場の怖さであります。その「欲」を抑え冷静になれという教訓でもあるのでしょう。

 「底値で買えなかった、天井値で売れなかった利益分は、自分のものではないと諦めることが重要なんだ!!」と、私に諭してくる夫ですが、、そんな彼自身も、売り買い後、株価をつぶさにチェックし、「あぁ。。。。。売らなきゃ良かった」「あの時、もっと買っとけば良かった」などとぼやいています。そして、このぼやきは、私の夫だけのものではないということ。いかに、冷静に株式売買をすることが難しいことか。。

 以上、韓国の株投資事情をお伝えしてきました。最後に「オマケ」として私自身のお話を。投資する際、一番重要なのは、自分の投資目的を明瞭にし、その目的に合わせた投資法をすることだと教わりました。私の目的は、「老後の備え」。そうなると比較的安定重視のローリスク投資法となるわけで、そんな私が「師」として参考にしているユーチューバー先生をご紹介します。~日本人です^^

おまけコーナー~私の師 両学長&バフェット太郎

 夫のすすめるイケイケ投資法は、私のリスク許容度を超えるもの。そこにブレーキをかけてくれたのは、ユーチューバー「リベラルアーツ大学」を運営されている両学長さんでした。学長さんがおすすめする、どんな景気局面においても勝てる確率の高い保守的な投資法、年金積立も兼ねた長期的なスパンで投資する手法が、リスク許容度ゼロの私には合っているなと感じたわけです。

 そして、もうひとかた。この方も堅実な米国高配当株投資で有名なバフェット太郎さん。この方はもともとブログで発信されていたのですが、「バカでも稼げる米国高配当株投資」の出版、そしてオリラジ中田さんの本紹介で一気に著名人となりました。(購入して読みましたが、これは本当におススメしたい)現在では、YouTube、ツイッター発信をされています。

 この方のキャラもなかなか面白い。YouTubeのナレーションを聞くと、純真そうな口調、魅力ある語り方なのですが、そこに見事なまでにギャップを感じさせてくれる「ク〇ダサい投資家は。。。」に代表される表現たち。^^強烈な個性を感じさせてくれるわけですが、慣れるとまあ中毒になるから、おもしろいもんですね。(笑)

 発信されている内容は、主に米国株に関すること。経済や金利政策、世界経済の流れがどう株式市場に影響を与えるか、そして、その状況下では、どのセクターが強気相場になるかをわかりやすく丁寧に説明してくれます。経済の流れから株式市場の先行きをどう推測するのかの方法も学ぶことができる、「魚」だけでなく「魚」の釣り方も伝授してくれる、いわゆる「有料級」情報です。本当にありがたいです。

 なのに、、、貪欲さ昂じて、いつまでたっても私は「ク〇ダサい投資家」から抜け出すことができないのであります。。( ノД`)シクシク…

両学長さん バフェット太郎さん!!いつも有益な情報ありがとうございます!韓国から応援しています~~

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