憧れのHARUTAのローファー

高校生の頃、今よりもっとオシャレのおの字も知らなかった私。
自分というものが全くなく、日本人特有の、『みんなと一緒』を最優先にする田舎の地味な女子高生だった。

その思考は、いつしかあの子が持ってるものが欲しい。
になり、よくこっそり友達の持っているものを真似したものだ。

今考えると、人の真似をするいやらしい女と思われていたんだろうと思う。
恥ずかしい黒歴史だ。
そして残念なことに、あの子が持っているものが欲しい思考は少なからず現在の私にも残っている。

そんな、みんなと一緒。
あの子の持ってるものが欲しい。
そんなことばかり考えていた15歳の私。
高校生になったばかりの頃はスニーカーで通学していたものの、周りを見渡せばローファーを履いている女子がたくさんいるではないか。

何だ!?あの靴は!!!

欲しい!!!!!

そして親に頼んだのがローファーを買って欲しい。だった。

地元の靴屋さんへ行き、めぼしいローファーを見つけ買った。
初めて買ったローファー。
これで私も華の女子高生だ!!なんて思いながら
すごく嬉しかった(と思う)
実際には覚えていない。

ドキドキしながら履いて通学したあの日(もちろん覚えていない)

ローファーを履いているという事実だけでクラスで言うとこの上流階級(俗に言うキラキラ女子)になれた気がした。
実際は特に何も変わることもなくローファーを履き始める前からの決まった友人と決して青春しているとは言えない内容のくだらない話ばかりをしていた。

そしていつしかローファーにも慣れ腐った。

少しくたびれたローファーもまたいいなと思っていた。
そんなぼんやりとローファーライフを過ごす、私はローファーといえば!みたいなメーカーがあることを知るのだ。
そう、HARUTA。

友達だったか憧れの先輩だったかが履いていたHARUTAのローファー。
しかもそれはリボンみたいなやつがついていた。
なんだあれは、、、、

一気に欲しくなった。
ただのローファーではない、HARUTAのローファーを。
しかもなんかリボンみたいなのがついてるやつ。

地元の靴屋を探すけれどそんなもの売っているお店は1つもなく、それでも欲しくて欲しくて仕方がない。(これも全部誰かが持っていたから)

大阪まで買いに行った(ような気がする)
ようやく見つけたローファーを買えた時の喜びたるや。。。(あまり覚えていないんだけど)

そうして私は華々しくHARUTAのローファーデビューを果たしたのだ。

憧れのHARUTA
そう思っていた。だけど、

私が憧れていたのはHARUTAのローファーではなく HARUTAのローファーを履いたあの子。

それをひた隠すようにHARUTAのローファーが好きだから欲しい!と言った。

時は経ち、大学生になった私は、
みんなと一緒を8割卒業できた。
社会人になり、音楽をはじめ、今では9割くらいみんな違ってそれでいいと思えるようになった。

私はこれが好きだから!
私はこうしたいから!

そう言えるようになったけれど、
やっぱりおしゃれはよくわからないし、
あの子が持っているものが欲しいと思う。

今でも時折憧れの対象をすり替えては、
ツウな人を演じているのだ。

そんなことを思い出したのは、立ち寄った靴屋さんでHARUTAのローファーがキラキラと商品棚に並んでいたからだ。

あの日、欲しくて欲しくてたまらなかったHARUTAのローファー。
確かに可愛い。

今の私ならもしかしたら
あの子が履いていたから買う!ではなくて
HARUTAのローファーが好きだから買う。
をできるのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?