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8月 本の備忘録(24.08)

①『「エルマーの冒険」を書いた女性 ルース・S・ガネット』前沢明枝
②『周りの9割が味方になる話し方』浅沼道郎
③『水木しげるのラバウル従軍後期』水木しげる

①『「エルマーの冒険」を書いた女性 ルース・S・ガネット』
前沢明枝

最近亡くなったらしく、図書館でピックアップされていたため、懐かしくなり読んでみた。
エルマーシリーズは、まさに本好きになるきっかけをくれた本で、保育園の先生の読み聞かせがいつも楽しみだったのを思い出す。
調べてみたら、2024年6月11日に100歳で亡くなったそう。
この本は、生前の彼女にインタビューしてつくられた本で、彼女のこどもっぽいユーモアをもつ面や、自分で解決する意思の強さをもつ人柄などを感じさせてくれた。

個人的に印象に残ったのは、彼女が子どもの頃に怒られる代わりに対話で、考えることを促される習慣があったこと。
また、彼女が親になったとき、小さな子どもが頭にパスタを乗っけて遊んでも怒らず一緒に笑うような、いつでも味方でいる姿勢を貫けたということ。
自主性や問題解決姿勢を育てるには、やっぱり怒らない方がいいのかなあ、と少し反省した。

そしてなにより、彼女が小説家ではないと言ったことに驚いた。
お話をつくることは大好きな遊びであって、エルマーもその延長から生まれた物語であった。
素敵な物語を紡ぎあげるのに、必ずしも小説家(仕事)である必要はないようだ。

②『周りの9割が味方になる話し方』
浅沼道郎

本や名言、時事問題など、あらゆる物事から参考になるところを切り取って話してくれる講義みたいな感じの本。

一番印象に残ったのは、ネームコーリング。
さりげなくたくさん名前を呼んで、かわいいやつだと思われれば勝ち、みたいなん。
職場にかわいいと思われるのが上手な同期がいたのを思い出した。

その人がしていたことを思い返せば、名前を呼ぶとか、自分の弱点を笑い話にして公開するとか、さりげなく褒める(落としてから上げたりする)とか、確かに本に書いてあることと似ている。彼のことは最初は嫌いだったし嫌われてたけど、いつの間にか最後には一番気楽な相手になっていた。

なんでだろう?
なんであんなに懐に入るのがうまいんだろう?

見て覚えるは、私のような不出来なやつにはなかなか難しいけど、本でわかりやすく書いてあることぐらいはやるような人間になりたい。

まずは、とにかく名前を呼ぶ。
難しいことは考えず、出会ったら名前を呼ぼう。

次 P152~

③『水木しげるのラバウル従軍後期』
水木しげる

2022年発刊だが、水木さんは2015年11月亡くなっているので、この本は死後に再編集されたもの。
水木さんのラバウルの友人トペトロは水木さんより先に亡くなった。
その後、火山の噴火で村は壊滅。
トライ族は全滅ではないものの、被害は大きく、つてのあるものはオーストラリアへ移住、ラバウルは無人の町と化した。
水木さんはずっとトンブアナ(祖先神でもある、土の人が葬式の踊りをするときにかぶっている)の研究をしようと考えていたが、一番詳しかったトペトロが亡くなり、水木さんも老いた。「人生は短すぎるようだ」と、水木さんは書いている。

私は怠け者になって、名誉のための努力なんぞほどほどにして、生きていける金だけ稼いで、人生の最もやりたいことをやりきって死にたいな。
「怠け者になりなさい」
曲解かもしれないけれど、私は手に余るほどのものを大事にしすぎないことが、人生で本当に大事なことをするために必要なことだよ、というような意味なのかなと思う。

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