NO.2 後藤裕子さん(地域クリエイター)
◆ごっちゃんというと、「杉並区」「沖縄タウン」「デザイン」「ファシリテーション」とたくさんのキーワードを持った人だけれども、実際はどんなお仕事をしているのですか?
◇今はいくつか仕事をしています。ひとつは有限会社ビーネイチャーという、ファシリテーションを教えたり、おとなの自然体験を提供している会社で事務局をしています。それからグラフィックデザインもしていて、チラシやリーフレットなどの紙もののデザインをしています。あと杉並を中心に地域活動を続けています。沖縄タウンという商店街で商店街の方とお祭りを企画したり、商店街の困りごとを一緒に考えたり、杉並で地域活動をしたいという方向けの講座やイベントの進行とかもしています。
◆すごい!多方面で活躍しているのですね!?
地域活動をするようになったきっかけは何だったのですか?
◇すごく遡るのですが…
将来のことを意識したのが中学生の頃で、発展途上国に関心を持っていたんです。それは大好きなウエンツくんが出演していた「あいのり」という番組を観たのがきっかけでした。笑
「あいのり」がアフリカなどの発展途上国にも行っていて、恋愛バラエティ番組でしたけど、その中で「アフリカは貧しくて、ご飯をまともに食べられなくて、7秒にひとり、子どもが命を落としている」という現状をわかりやすく伝えていたんですね。それを中学生のときに観て、そんな大変な世界があるということに衝撃を受け、「自分にも何かできないかな」と社会に目を向けるようになったのが最初ですね。
◆発展途上国の現状を知ったことで、誰かのために何かをしたいという思いが生まれたのですね!?海外に行こうとは思わなかった?
◇最初は海外で仕事をするということも想像していました。でも、わたしは山口出身なんですけど、山口の中でも田舎のほうに住んでいて、自分の住んでいる所がどんどん元気が無くなっているなということも、その頃に感じていたんですよね。小学1年生のころは、学校の生徒数もいっぱいいて、登下校のグループもみんなでわいわいしていたのに、私が卒業する頃には、自分と妹と友だちと友だちの弟の4人だけになっていたんです。どんどん住民が減っていて、子どもなりにも「これは地域が衰退しているな」ということを感じていました。海外も大変な状況だけど、海外の国は発展途上だから、これから上がっていく。でも地元はどんどん衰退していく一方だなということを感じて「衰退国日本をどうにかしないといけない!」という気持ちに変わっていきました。そのときから「地元を良くしたい!元気にしたい!」というのが、今も一貫して持っている気持ちですね。
◆そういう想いが「地域クリエイター」という肩書に繋がっているのですね!
◇「地域クリエイター」というのは、沖縄タウンで、いっしょに活動しているシンガーソングライターの方が、私の活動を見ていて、「こういうのは『地域クリエイター』て言うんじゃない!?」と言ってくださって、それから名乗らせてもらってます!
自分の中では、地域の方との対話を通して、何か楽しく新しい変化を起こしていく人であれたらいいなと思っています。それが「地域クリエイター」という仕事になったらいいなと。
◆これまで商店街の方々や地域の方々と対話を重ねてきていると思いますが、難しさを感じることはありますか?
◇難しさというか、どうやったらいいかなぁ〜、どこに向かっていったらいいかなぁ〜というのは常に手探りですね。自分の性格的なものもあるんですけど、なるべくみんなの意見を「聞く」ということをしたいという思いと、対話によって目指していく目的を持っていたいという思いがあって。いろんな人が関われて、対話して意見を交わし合って、そしてまちにいい変化が生まれていくといい。そういう超理想論を持っている中で、でもじゃあ具体的にどうしたら実現できるのか、どう変化していくのがいいのかは、そんなに簡単に出てくるものではないし、誰か一人が掲げればいいものでもない気がするから。結局そういうものも、地道だけど、みんなで何度も対話を重ねながら見つけていけたらいいなぁ・・・という願いがあります。
◆なるほど!そういうときにファシリテーションが活きてきますね!
◇そうですね。わたしが働いているビーネイチャーという会社は「人や、組織や地域が、自然な状態で持てる力を発揮できたとき、そこには幸せな関係や本来の価値が生じるはず!」という思いを大切にしていて、誰もが自分らしくありたいようにいられる社会にしていこうと、自分自身を見つめ直す機会にと、大自然に触れるプログラムを提供してきました。そういう体験の中で、他者との対話や、自分自身との対話はとても大切で、みんなが主体的にいい形で対話が行われるには、その場を円滑に進める舵取りが必要だとなり、当時、今から20年前ぐらいなのですが、まだ日本には対話の文化とかはなくて、ワークショップとかもなかったときに、「ファシリテーション」というものを伝え始めたんです。
わたしもビーネイチャーで「ファシリテーション」を学んだことで、活動のいろいろな場面において活かせていると思いますね。
◆これから、どんなふうに進んでいきたいと思っていますか?
◇まだまだ迷い中だけど、やっぱり、わたしが人生をかけてやりたいことは、地方のこと、地元のことだなと思っています。
今は自分も地元を離れてしまっていますが、でも地元の良さは、一度東京に出たからこそ気付けたし、ビーネイチャーで自然の偉大さを改めて気付くことができて、自分はそういう場所で育って、暮らしていたということへの感謝も生まれたんです。
だから、いつかわたしが山口に帰るときには、東京で見たもの、得たもの、出会った人を繋いでいくことで、地元に貢献できたらなと思っています。
大切なことは、いかに一人ひとりがそこで活かされていると感じられるかどうかで、もっと人材を輝かせられる機会や、場所があればいいと思うんですよね。五感で感じとれるあらゆる資源を全て活かし合いたいなと思っています。存在する全てに価値があると思うので、全部をみんなで活かし合いながら、より良く変化させていけたらいいなと思っています。
ごっちゃんがいろいろな所で新しい変化を起こしていくことを楽しみにしています!