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時を計る

秋の日はきみの隣にはらはらと木の葉がはかる時にまかせて
──壱羽烏有


恋人が湖畔のカフェに連れていってくれました。

北欧風の、木材を主にした造り。
窓際の席は湖をのぞみ、二本のおおきな木が見えました。

BGMの音量はごく小さく、静寂が柔らかい。
わたしごのみの空間です。

時が止まったような……?

否、ときおり木の葉が落ちていく、それが時の流れを教えてくれています。

以前彼とともに訪れた、これもまた静寂の心地よい古民家カフェで、庭の大木から落ちる雨だれが低木の葉を叩いていたのを思い出しました。

落葉や雨だれのような自然が示す時の流れには、ゆらぎがあるもの。
そして、あらわれたり消えたりと、あらわれ自体もゆらいでいるようです。

現代社会は時計に馴染みすぎていて、まるで一定のリズムが永遠に続くような感覚があるけれど……もしかしたら、限りなく続く線、果てのない面のように、ゆらぎのない時間もまた幻想なのではないかしら。

そんなことを思いつつ。
HIMLAGOTT、スウェーデン語で「天にも昇る幸せ」という名のすてきなフレーバーティーをいただいて。

自分のまばたきにさえ時の計りがあるような、いくつもの時の曲線が遊んでいるような、幸せな時間を過ごしたのでした。

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