ルシフェルの帰還
魂の闇夜は永く道もなくいのちの果ての天津甕星
──壱羽烏有
今日は、スピリチュアルに振り切った記事を書きます。苦手なかたは、回れ右してくださいませ。
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最近、「ルシフェルの帰還」という言葉とスピリチュアルな情報が立て続けに入ってきています。
曰く、ルシフェルが堕天した真の目的は、全ての人間を闇から救うこと。
「完全な闇の中で、闇を打ち破ることができるか」を試みに、ルシフェルは一切の助けも光も届かない深い闇に落ちていった……。
そして「闇を打ち破る法」を極めて、たった一人で生還したのだそう。
◆参照元↓
スピリチュアルメッセージ:高次元との対話「ルシフェルの帰還」
強靭な生存本能、そして他の天使が恐れるような場所に行く力が彼にはあったのでしょう。
この話を知ったとき、至高天に帰還したルシフェルが、わたしにはペールコーラルの光を放つ女神のように感じられました。
天使に性別はないとはいえ、男性寄りの印象が強かったので驚きです。
以来、ルシフェルの三人称は彼/彼女としています。
ルシフェルと言えば、金星。
金星といえば、サナトクマラ。
ということで、オーラソーマにおけるサナトクマラの色を確認してみました。
するとなんと、ペールコーラル。
びっくり。
解説を読んでみると……
「母性/父性原理の最も高められた位置から地平に降りてくる最高の愛」
ルシフェルに両方の性を感じることへの答え合わせをした気分がしたのでした。
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さて。
キリスト教によって悪魔と呼ばれた周辺地域の神々がいます。
しかし、ルシフェル Lucifer は元来神の名前ではありません。
ただラテン語で明けの金星を表す「光をもたらすもの」という意味だったのに、なぜか堕天使の首領の名前にされてしまったようです。
では、ルシフェルとは誰を指したのでしょう?
ふと思ったのは、古代には金星信仰が有力だったのでは?ということ。
遡ってみましょう。
シュメールにおいて古代都市ウルクを守護した女神イナンナ。
彼女には王権を授与するほどの強大な力がありました。
イナンナとはシュメール語で金星を指し、その名の意味は「天の女主人」。
そして、時代が下って言語が変わり、アッカド期に呼ばれたイシュタルという名も元来は金星を意味しました。
興味深いことに、かつてイナンナ/イシュタルは、明けの明星としては男神、宵の明星としては女神であったそう。最終的に1つの女神として習合されたと……。
さらにこの女神から派生したと言われているのが、古代セム人の女神アスタルテです。
特にフェニキアにおいては「世界の真の統治者」と呼ばれるほどの大いなる神でした。
……そう、彼女を男性化したのが、グリモワールに名高い地獄の大公爵アスタロトです。(聖書では女神アシュトレト)
ルシフェルとは、古代から連綿と受け継がれた金星信仰の大いなる女神を暗喩したのではないか……と、ここで愚考するに至るのでありました。
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ひょっとすると、わたしに訪れている「ルシフェルの帰還」のメッセージとは、金星からの霊的な呼びかけなのかもしれません。
では、霊的な金星とは、どういったものでしょうか。
たとえば、ウガリット神話における金星は、明けの明星のシャヘルと宵の明星のシャレムの双子神とされます。
古代、朝の礼拝では、太陽の再生を宣言するシャヘルに祝福が捧げられました。
また、イナンナのように冥界にくだって天に戻ってきた勇敢な神もいます。
そう、おそらく金星の霊性は、死と再生を司るのです。
さらに、金星の神は、ときに獰猛です。
イナンナも戦いの女神の一面がありますし、道教の太白神も武神です。
これらに共通しているのが、冒頭ですでに書いた、「強靭な生存本能、そして他者が恐れるような場所に行く力」。
この力は、至高の愛のもとにあって、十全に発揮されるのでしょう。
生と死を司り、光と闇を知り、男性性と女性性を兼ね備える……
一極のみに偏らない円環。
二元性を超越した存在が、霊的な金星であり、『ルシフェル』なのではないでしょうか。
そんな気がします。
*
長々と書きました。
最後に、プラトンによる青年アステルに捧げられた哀悼の碑文で締めようと思います。
アステルとはギリシア語で星を意味する名前。
ここでは金星を持ち出して、生と死を司る一柱の神のように描かれています。
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