80以上のファクトチェック団体がYouTubeに対策是正を求める公開書簡を提出
2022年1月12日、世界の80以上のファクトチェック団体がYouTubeのCEOに対策是正を求める公開書簡を提出した。同様の書簡は昨年META社のザッカーバーグにも提出されている。
An open letter to Mark Zuckerberg from the world’s fact-checkers
https://www.poynter.org/fact-checking/2016/an-open-letter-to-mark-zuckerberg-from-the-worlds-fact-checkers/
公開書簡そのものは参加したファクトチェック団体のページで確認できる。
下記の3点についてYouTubeの是正を求め、「我々は、YouTubeを支援する準備と能力があります。YouTubeとこれらの問題について話し合い、協力関係を築くための方法を見つけたいと思っており、この申し出に対する回答を楽しみにしている」と書いている。
読みようによっては、すでにファクトチェック団体最大の団体となっているアルファベット社(グーグルグループの親会社)へのさらなる資金提供の要請にも見える。実際、META社もアルファベット社もファクトチェック団体への投資はもっとすべきだと私も思う。思うけど、その一方でファクトチェックにフォーカスするような動きはエコシステムの健全化には逆行する。
なぜなら、ここであげられたような対策は、ファクトチェックを強化し、情報環境を改善する可能性があるが、メディアのエコシステムを健全化はしないからだ。その理由は簡単で人は正しいからそれを支持したり、読むわけではないからだ。さらにいえば、ファクトチェックの内容を理解したり、リテラシーを高める努力をしたりする人は多数派ではないし、ならないようにエコシステムはできている。
METAやグーグルはファクトチェックが注目されることで、メディアのエコシステム全体に影響を及ぼすことから注意をそらそうとしているという指摘もある。その通りだとすれば、今回のようなファクトチェック団体の活動は思う壺ということだ。
2022年1月12日補足 私はファクトチェックは必要不可欠であると考えているが、その一方でグーグルやMETAは広告やその他のビジネスの根幹に近い部分に触れられないための目くらましにも利用されていると感じている。
フェイクニュースや陰謀論はわかりやすい問題で、対抗策としてのファクトチェックもわかりやすい。これを前面に出して世論や政治家の注意を惹きつけておけば触れてほしくないビジネスの根幹、メディアのエコシステムの支配力の源泉から話題を引き離しておける。ファクトチェック団体に資金を提供し、彼らを自身のファクトチェックに組み込めばいい。Snopesの事件を見ればファクトチェック団体の基盤が脆弱で取り込む隙があることがよくわかる。しかも彼らもそれを望んでいるという、ウィンウィンの関係なのだ(もちろん、ファクトチェック団体にはその自覚はないと思う)。
メディアのエコシステムとグーグルやMETAの問題については下記をご参照ください。
コロナ禍を悪用するデマサイトのインフラを提供するグーグルやフェイスブックなど大手IT企業
https://note.com/ichi_twnovel/n/n9fb1566cb300
情報環境の健全化が有効ではないことについては下記をご覧ください。
テクノポーラーによって、ほとんどのネット世論操作への対応が弱体化するhttps://note.com/ichi_twnovel/n/nada4dfcf0dd2
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