右派と左派のどちらが陰謀論を信じやすいのか？ 共和党vs民主党、日本を含む20カ国での調査による論文
最近見つけたのだが、2022年7月22日に公開された「Are Republicans and Conservatives More Likely to Believe Conspiracy
Theories?」（ https://doi.org/10.1007/s11109-022-09812-3 ）という論文がある。この論文では、アメリカの共和党と民主党支持者が信じる陰謀論の調査と、日本を含めた20カ国での調査を行っている。
陰謀論に関しては数多くの研究が行われているが、その結果は必ずしも一致しておらず、他の研究結果と矛盾していることも多い。過去のほとんどの研究は少数の陰謀論に焦点を当てて、非対称性（右派と左派では傾向が異なる等）を調査していたものが多いことが、その原因と指摘している。
「陰謀論 とは、権力者が自分たちの利益のために、公共の利益に反して、基盤となる社会規範、規則、法律を損なう形で秘密裏に働いていると非難する出来事や状況の説明」であるため、事実ではない可能性が高い。また、そこに包含される内容は幅広い。陰謀論は単一のスタイル、方向性を持つものではない。
下のチャートをご覧いただくと、すぐにわかるようにアメリカの共和党／保守派と民主党支持者／リベラル派はどちらも陰謀論を信じる傾向があるが、信じる陰謀論は異なっている。たとえば、共和党／保守派は温暖化を否定する陰謀論を信じる傾向があり、民主党支持者／リベラル派は、トランプをロシアの手先と信じやすい。中には両方が信じやすい陰謀論もある。
世界20カ国で調査した結果は下図だ。国によって異なる傾向がでている。たとえば9/11陰謀論は、8カ国の左派から多くの支持を得ており、他の12カ国ではイデオロギーとはあまり関係がない。
結論として右派、左派のいずれも陰謀論にはまるが、異なる陰謀論であることが多い。それぞれの政治信条に合った陰謀論が存在している。
陰謀論を研究するためには、幅広い陰謀論について調査研究する必要あるが、そのための適切な陰謀論のセットはまだ見つかっていない。
この論文ではさらに調査を行っている。くわしくは原典をご覧いただきたい。
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