見出し画像

アメリカでもっともダウンロードされたニュースアプリNewsBreakの正体 中国由来のAIが架空記事を執筆

生成AIがニュースを侵食していることは有名で、特にアメリカではローカル紙の衰退と相まって、AIニュースが広がっている。そんな中、ロイターのJames Pearsonが2024年6月6日に、中国由来のAIライターが記事を執筆しているニュースアプリNewsBreakの実態をレポートした。

NewsBreak: Most downloaded US news app has Chinese roots and 'writes fiction' using AI
https://www.reuters.com/technology/top-news-app-us-has-chinese-origins-writes-fiction-with-help-ai-2024-06-05/

NewsBreakは、ライセンスを得たロイター、フォックス、AP、CNNなどの大手メディアのコンテンツや、インターネット上の地元ニュースやプレスリリースをスクレイピングした情報を、AIが書き換えてニュースとして公開している。しかし、2021年以降40件上のトラブルを起こしている。
たとえば起きていない銃乱射事件の記事をクリスマスに書いたり、フードバンクの食品配布時間を間違えたり、実際には行われていないホームレスのための24時間フットケアクリニックサービスを告知したりした。当然、このようなニュースはリアルな混乱を巻き起こす。起きてもいない銃乱射事件に怯え、時間外にフードバンクに人が集まり、ホームレスはやっていないフットケアを受けるために移動する。
さらに競合他社からコンテンツを盗用していたこともばれて、訴訟となったことも何度かあった。

NewsBreak は非公開のスタートアップ企業だが、ロイターの取材に対して、主な出資者はサンフランシスコのFrancisco Partnersと北京のIDG Capitalであると回答している。
また同社は中国に開発拠点を持っている他、北京と上海のオフィスで、アプリのアメリカユーザーからの「膨大な行動データ」の「マイニング」が可能なデータアナリストまたはエンジニアを募集する求人広告を出していたこともわかっている。

好評発売中!
『ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する』(原書房)
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。

本noteではサポートを受け付けております。よろしくお願いいたします。