見出し画像

ドイツで成功した中国の影響工作

ロシアがドイツで影響工作を進めていることは何度も紹介したが、中国も同様に成功していたことが2024年年10月に暴露された。

Das China-Gate des AfD-Spitzenkandidaten
https://www.t-online.de/nachrichten/deutschland/innenpolitik/id_100247784/afd-maximilian-krah-das-geld-aus-china-und-die-geheimdienste.html

China Finds Friends in Europe’s Far Right
https://foreignpolicy.com/2023/10/03/china-influence-europe-far-right-germany-afd-maximilian-krah/

●中国の対ドイツ影響工作

ドイツの極右政党AfDのMaximilian Krahとその周辺が中国の支援を受けていることが暴露された。Maximilian KrahはAfDの有力な政治家でEU議会選挙の候補者でもある。また、彼以外のAfD有力者が何人も中国に招かれて訪れたりしている。

ただし、中国がことさら特別なことをしているわけではなく、アメリカやヨーロッパの多くの国が行っているのと同等の工作をしているにすぎないとも言える。問題は中国やAfDのような政党は正統的なEUの理念とは相容れないものが多いという点だ。
AfDは対中政策について批判的で中国の抱える人権問題やロシア支援も擁護している。Maximilian Krahは、ドイツは中国の資金を使ってロシアとの自由貿易圏における地位を強化し、アメリカに立ち向かうべきである、と主張し、新疆ウイグル地区の人権侵害に関してもデマであり、反中プロパガンダだとしている。
Maximilian KrahはEU議員として反中的な決議に反対票を投じたり、中国とのEU投資協定交渉を行う委員会のメンバーとして活動していた。

ドイツにおいて中共中央对外联络部(IDCPC)は中国の情報機関とみなされており、接触すること自体が違法行為とされる可能性もあったが、Maximilian Krahは中国企業が提供したビジネスクラスで北京に行き、高級ホテルに滞在し、外交官を名乗るIDCPCのメンバーと会った
Maximilian Krahは地方都市に対して工業団地を提案し、中国の都市との提携を持ちかけたこともある。彼のアシスタントや周辺の人々も中国との接点を拡大しており、ドレスデン近郊に対してアプローチしているようだ。

中国の経済を背景に、AfDの政治家を媒介してドイツ国内に中国の影響力ネットワークが広がっている模様を2つの記事は描いている。

好評発売中!
ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。


本noteではサポートを受け付けております。よろしくお願いいたします。