暴力と不安定のアメリカ Foreign AffairsでSpotlight: American Democracyメモ

Foreign AffairsでSpotlight: American Democracyとしてアメリカの民主主義についての記事を5つまとめている。それぞれの記事は異なる視点でアメリカの民主主義が危機に瀕していることを訴えている。このうち、3つの記事「America’s Coming Age of Instability」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2022-01-20/americas-coming-age-instability)「The Republican Devolution」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2020-08-07/democracy-fragile-republic)「The Fragile Republic」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2020-08-07/democracy-fragile-republic)が主として共和党やトランプについて論じており、ひとつの記事は「From 9/11 to 1/6」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2021-08-24/war-on-terror-911-jan6)は極右などについて論じている。共和党が右派などと結びつきがあることは「The Republican Devolution」でくわしく記述されており、アメリカの民主主義の課題の大きな部分は共和党と反主流派にあるようだ。

共和党と民主党の亀裂は広がり、それぞれの支持層も分断されている。共和党は右派などの反主流派と結びついて、より先鋭化、過激になり、さらなる分断、経済格差、人種対立を広げた。単なる政治的な主張に留まらず、2021年1月6日の暴動に見られるようにテロあるいはクーデターと呼ぶべき行動に移っている。共和党はこの暴動を合法的なものと党大会で圧倒的多数で決議した。暴力が日常化した不安定な社会の日常が始まりつつあるのだ。
Foreign Affairsのそれぞれの記事は、ここにいたるまでの歴史的変遷と現状をくわしく紹介している。それぞれの記事は今後の見通しについて述べているが、楽観的なものやそうでないものもある。しかし、簡単に問題は解決しないだろう。

Foreign Affairsの一連の記事で全く触れられていなかったことがある。それはアメリカの極右などの反主流派はロシアのプロパガンダを受け入れており、親ロシア活動を繰り広げているということだ。
筆者はかねてから暴力の時代が始まることで、ロシアの影響工作の効果をさらに押し上げると言っており、新刊の『ウクライナ侵攻と情報戦』にも書いたが、その通りになりつつあるのが怖い。


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