民主主義の現在 対中国T10包囲網の意味 How Should Democracies Confront China’s Digital Rise? Weighing the Merits of a T-10 Alliance

How Should Democracies Confront China’s Digital Rise? Weighing the Merits of a T-10 Alliance(Council on Foreign Relations =CFR、2020年11月30日)
https://www.cfr.org/blog/how-should-democracies-confront-chinas-digital-rise-weighing-merits-t-10-alliance

アメリカの外交評議会のブログ記事(Steven Feldstein)。
中国の技術分野での台頭に対抗して、Technology 10=T10あるいはT12というグループ構想があり、これに関する論考である。結論から言うと、うまくいくはずがない、というのをていねいに説明している。

まず、このグループが非常に広い範囲の技術分野を対象としていることから、困難がありそうと指摘している。目的は、対中国、民主主義擁護のいずれにしてもあまりにも広い対象の優先度を決めるだけでも意見の不一致など調整が大変だ。

次の問題は10あるいは12の国というのは数として少なく、立場が流動的なブラジル、インドネシア、ケニアといった東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々を含んでおらず、西洋のエリートクラブになってしまうだろう。
また、参加国の間にはおおきな関心事項や優先順位のギャップがある。たとえばEUが予定しているさまざまな規制はアメリカ企業におおきな負担を強いることが予想されている。参加国の合意形成はなかなか難しいだろう。異なる経済ブロックの間でのギャップを埋めることはすぐには難しく、当初はデジタル関連の規制の共有から始めるくらいにならざるを得ないだろう。
さらにアメリカは国内でも技術政策で一貫性を欠いており、多国間での調整はさらに難しいことになる。

中国の台頭に警戒し、対処すること自体は重要だが、性急に有効性が明らかでない方法に飛びつくのは危険だ。西洋エリートクラブが果たして有効な対策になり得るのか充分に考える必要がある。

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