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痛みを知ろう
こんにちは
心と体の声を聞くセラピストの一柳成美です。
セラピストとして患者さんと、向き合い機会が多いためどうしても痛みについての質問を受けます。
今回は、その『痛み』についてお話していきたいと思います。
皆さんは日常生活で痛みを感じることがありますよね。
重いものを持ちあげた際に、肘が痛くなった。
腰のヘルニアで足が痛い
野球の試合中に、自打球が足に当たり腫れていたくなった
などなど、日常生活では頻繁に痛みを感じることがありますよね
では、
・デスクワークで体を動かさないから背中が痛い、頭が痛い
・ストレスで身体中が痛い
などという経験はありませんか?
ん?ちょっと疑問が生まれませんか?
痛みを感じるような刺激を受けたら痛みを感じるイメージはつくと思います。
でも刺激を受けていないのに痛いってどういうこと?
でも確かに動いていなくても感じる痛みは日常生活でたくさん生じます。
皆さんからこのような刺激を受けていないのに感じる痛みについて質問をたくさん受けます。ですので、今回は痛みのことについて伝えていきたいと思います。
痛みの定義
痛みの定義は、国際疼痛学会(IASP)で定義されています。
定義は、以前から定められていましたが2020年に改訂されています。
その改訂された内容がとても大切ですので、そちらも含めて説明します。
1979年 痛みの定義
原文
An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage,or described in terms of such damage.
和訳
(痛みは、)組織の実質的あるいは潜在的障害にもとづいて起こる不快な感覚・情動体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。
2020年 痛みの定義
原文
An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage.
和訳
(痛みは、)組織の実質的あるいは潜在的障害にもとづいて起こる不快な感覚・情動体験、またはそれに類似した不快な感覚・情動体験である。
太字で示した部分が改訂で変化した部分です。
1979年の『痛みの定義』では
『組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるもの』
と損傷の有無で区別することで、急性痛と慢性疼痛の存在を提示していました。
しかし
2020年の『痛みの定義』では
『またはそれに類似した不快な感覚・情動体験』
と表現することで、組織の損傷を前提としなくなり
組織損傷の有無が関係なく『痛み』というものがあると提示しています。
さらに痛みに関して、6つの重要事項が提示されました。
・痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によってさまざまな程度で影響を受ける。
・痛みと侵害受容は異なる現象である。感覚ニューロンの活動だけから痛みを推測することはできない。
・個人は人生経験を通じて、痛みの概念を学ぶ。
・痛みとしての経験に関する人の報告は尊重されるべきである。
・通常、痛みは適応的な役割を果たしますが、機能的、社会的および心理的な健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
・言葉による説明は、痛みを表すいくつかの行動の1つにすぎない。コミュニケーションができないことからといって、人間や人間以外の動物が痛みを経験する可能性を否定するものではない。
つまり国際疼痛学会が今回の改訂により、組織の損傷や侵害受容≠痛みと伝えようとしていることがわかります。
痛みの分類
日常で感じる痛みの中で、切り傷や物にぶつかった時の痛みも含め、お腹が痛かったり、頭が痛くなるのも痛みです。
そのような痛みをまず分けて考えてみましょう!
発生原因による分類
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◉侵害受容性疼痛
痛みを感じる侵害受容器が刺激されて起こる痛み。
例)切り傷、打撲、やけど、捻挫など日常生活でよく体験する痛み
熱刺激・機械刺激・化学刺激の受容器がこれにあたります。
◉神経障害性疼痛
痛みを伝える神経が傷ついたり、変性したために起こる痛み。
例)しびれる様な痛み、ピリピリするような不快な痛み、
軽く触っただけなのに激痛を感じる痛みなど
代表的な疾患:帯状疱疹後神経痛・幻肢痛など。
◉痛覚変調性疼痛
侵害受容の変化によって生じる痛みであり,末梢の侵害受容器の活性化をひきおこす組織損傷またはそのおそれがある明白な証拠あるいは,痛みをひきおこす体性感覚系の疾患や傷害の証拠がないにもかかわらず生じる痛み
(注記:患者が,侵害受容性疼痛と痛覚変調性疼痛を同時に示すこともありうる).
この用語は、臨床的にも研究的にも、一見すると正常な組織であり、神経障害の兆候がないにも関わらず、特定の部位に痛みと過敏性がある人を特定するために用いられる。
※痛覚変調性疼痛
説明がとても難しいですよね。簡単に言えば、組織や神経の損傷がなくても、痛みの発生に関与する神経回路の変性が起きているものを言います!(以前までは心因性疼痛と表記されていることが多いです。)
痛みの期間による分類
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◉急性痛
痛みが始まってから約6週間までの痛み
◉慢性疼痛
急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み
妥当な時間としては、3ヶ月 、または、6ヶ月 が挙げられている。
痛みの部位による分類
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◉体性痛
体性痛は、表在性痛と深部痛があり、体表への刺激により惹起される痛みです。
体性痛を起こす刺激には、熱刺激・機械刺激・化学刺激があります。
□熱刺激
熱による刺激が痛みと感じる
例:熱を痛みと感じる閾値を超えると痛みとなる。
□機械刺激
圧力による痛みです。
例:皮膚をつねることにより皮膚が圧力を感じ、痛みの閾値を超えると痛みとなるのです。
□化学刺激
ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、H+、プロスタグランジンなどの化学物質による刺激です。
◉内臓痛
内臓痛は、内臓が感じる痛みです。
それぞれの痛みのことを知ることで、今の症状はどんな治療でアプローチする必要があるのか考えれる第一歩になります。
痛みの伝道路(上行性疼痛伝導系)
続いて、痛みを感じる仕組みをお話しします。
痛みとは、電気信号です。
痛みを感じる受容器(自由神経終末)が皮膚、関節包、靱帯、骨、筋肉、内臓などにあります。痛み刺激で発生した電気信号が、受容器から電位となって脊髄を通過し脳まで伝わりやっと痛みを感じます。
そして痛みは、受容器から脳に直接情報を伝えるのではなく、途中で情報をバトンタッチします。その電気信号をこのバトンタッチする場所がシナプスといいます。
⭐︎シナプスとは
神経情報(ここでは痛みでおきた電気信号)を渡す側と受け取る側の間の構造のこと。
情報を渡す側の神経の終末から、神経伝達物質(情報を伝達する物質)が放出され、受け取る側が結合することで信号が伝わります。
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びっくりするくらい絵のセンスがない私ですが、自分的には大満足の絵ですので堂々と出します!!!!!そして、この絵で痛みの流れを説明します!多分インパクトが大きいので覚えやすいと思います笑!
痛みの伝導路
💥受容器で痛み刺激を感じる💥
↓
第一次ニューロンに乗って電気信号が流れる
↓
🟢シナプス【脊髄後角】
↓
第ニ次ニューロンに乗って電気信号が流れる
↓
脳幹を通る
↓
🟢シナプス【視床】
↓
↓第三次ニューロンにのって電気信号が流れる
↓
🤕大脳皮質で痛みとして感じる🤕
絵とセットで、流れを理解していただけるとわかりやすいかなと思います!笑
ちょっと情報が多く、整理できないと大変なので(私は学生時代に痛みの話で頭パンクしました😅)今回はここまでにしたいと思います。
次回は、自分の体が痛みに対する生理的な抑制反応についてお話ししたいと思います♪
最後まで読んで下さりありがとうございました!
次回も読んでいただけると嬉しいです😄!
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