見出し画像

【レビュー】『シネマの天使』

ほとんど映画を観たことがない映画初心者の、備忘録としてレビューを残します。
カナリ個人的で的外れな内容もあるかと思いますので、その点お断りしておきます。

『シネマの天使』
2015年 1時間30分 時川英之監督

●あらすじ
もうすぐ廃館になる100年以上続いた映画館を舞台に、その周囲の人物達を描いた作品。
廃館になると知りつつ、幼馴染の紹介で一時凌ぎの為にその映画館でアルバイトとして働く女の子を中心に、幼馴染の男の子、映画館の支配人、そこで働くスタッフ、そしてその謎の老人まで現れる。
登場人物達やその町の人達とって映画とは、はたまた映画館とは何なのか、意味と役割が大変大きいものだったことに、閉館間際に気付くのだった。
そして謎の老人は一体何者なのか。それは閉館してから明らかとなり、主人公は初めて『わぁ〜』となる感覚を味わったのだった。
(『わぁ〜』というのは映画内で用いられている表現である)

●レビュー
★★★★★(星5つ)
タイトルに惹かれて鑑賞。
映画初心者の私が、映画とはという問いに関する答えのヒントを見つけたくて選んだ。
登場人物は皆映画に思い入れのある人。
私は簡単には映画を観られない時代に映画館へ行って観たこともあり、今まさにスマホやテレビで手軽に映画を観られる時代も生きていて、その恩恵にあずかっている。
どちらの感覚も分かるからこそ、この映画を観て思うことがあった様に思う。
ただ単に廃館になる映画館にまつわる人達の物語だけではなく、映画の役割、映画を作るものづくりの視点も描かれていて、映画館で青春を過ごした大人から、サブスクで映画を見る世代までも楽しめる作品なのではないかと感じた。
私の様な映画初心者にも、これから映画を観るのが楽しくなり、さらに映画館でそれを楽しみたいと思える作品だった。
このタイミングでこの作品に出会えたことに運命を感じてしまう作品だった。
時川監督の作品を、他にも観てみたくなった。

●真似したい点
・どの年代にも感動のポイントがあるだろう点
・しかもそのポイントや内容が、一つの作品にして、対象人物により様々な内容に変化するだろう点
・悲しい事実を悲しいだけでなく終えられた点

●最後に
この作品の中で一番驚いたのは、この作品がどのなんだの人にも刺さるだろう何かを持っており、その刺さる何かはその対象となる人物によって違うだろうが、それを一つの作品で成し得ている点だった。
また、時代の変化の中で、悲しくも変化に対応しきれず失われていくものを描いているので、根本には悲しい感情が流れているのだが、それだけでなく温かい気持ちも持って終わられていた点も素晴らしいと思った。
この2点は私が作品を作ろうと試行錯誤する中で目指す作品像だった。

残念ながら私も映画館では映画を観ない。
映画館の雰囲気は好きだし、映画館で映画を観たこともあるのだが、何故か毎度、後ろの席の方の足が幾度となく座席に当たるという席運の無さで、その音と感覚が気になってしまって映画に集中出来ない残念な状況しか体験したことがなかった。
その為、DVDをレンタルして観る方法へ変え、映画館から足が遠のいてしまった。そして今、スマホやテレビで手軽に映画が見られる時代になり、ますます映画館には行かなくなってしまった。

謎の老人という気になる存在はありつつも、単に地元に愛された映画館の話なのかと思ったが、映画が観る人にもたらすことにも言及されており、これから色々な映画を観たくなることはもちろん、また映画館で映画を観たくなる作品だった。
そして最後に謎の老人の正体が明かされた時には私も『わぁ〜』となった。
2015年の作品ではあるが、是非ともたくさんの人に『わぁ〜』となって欲しいなぁと思った。
(『わぁ〜』という表現については、この映画で使用されている表現で、映画を観ていただけたらお分かりいただける。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?