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和田美代子「心もからだもおなかも”湯治” とっておきの温泉宿」

・本書は、フリーライターで、医療関係の雑誌や、旅行雑誌等で連載経験がある著者が、現在、「食べもの通信」にて連載中の「とっておきの温泉宿」の中から、なるべく家族経営で、その土地のあたたかさが伝わってくる宿を中心に27の温泉宿を紹介した1冊。

とっておきの温泉宿(一部)

①北海道・豊富温泉 「川島旅館」
・川島旅館の内湯は照明が絞られていて、その雰囲気が優雅な気分にさせてくれる。
・わずかに黄色がかった温泉はかすかな石油臭があり、その油成分が類まれな保温・保湿効果を発揮し、「保護膜」と表現する人もいる。かかとのひび割れなども、何回か入るだけで決別するという手応えを著者は入って感じたとのこと。
・豊富温泉の源泉温度は35度以下で!季節により変動する。川島旅館の内湯はぬるめの湯船と源泉そのままの湯船の2種類で、半露天風呂はやや熱めに加温している。
・川島旅館は札幌の料亭やイタリアンレストランで修行をした3代目が担当。著者は夕食時に、タコのマリネやサンマの塩焼きを地酒で楽しんだとのこと。また、川島旅館には「とよとみフレーバーバター」というオリジナルのバターを数種類堪能できる。

②長野県・中棚温泉「中棚荘」
・中棚温泉の泉質はほぼ無色透明のアルカリ性単純泉で、トロッとした肌触りである。ひのきの湯枕が横たわる湯船には5月下旬まで、地元産の赤いリンゴが浮かべられる。著者はこの温泉に入り、「甘い香りが漂い、心身の緊張がほぐれていくのを感じた」とのこと。
・源泉は飲むと、胃の粘膜に弱い刺激を与える成分が含まれ、慢性胃腸病や飲みすぎた朝に良いとされている。源泉はクセがなく、料理にも使われている。
・中棚荘は島崎藤村が残したことば「もっと自分を新鮮に、簡素に」をそのままコンセプトにした「丹精込めたもてなし」の心が伝わる湯宿である。
・中棚荘の食事は、夕食は地元産の食材を使った揚げそばがきのあんかけや、酒粕仕立ての鶏の鍋物などがあり、朝食は麦とろ飯のとろろ汁、信州みそを使った天下一品のみそ汁が紹介されている。

③愛知県・湯谷温泉「はづ木」
・静岡県との県境にある湯谷温泉は、1300年前、鳳来寺を開山した利修仙人によって発見されたという古湯で、そのお湯は、体の芯から温まり、湯冷めしにくいのが特徴である。
・「はづ木」は漢方薬膳料理を提供しており、料理に供される漢方の食材は、約十数種類にもおよぶ。ダチョウ肉の煮込み、紅花入りエビの炒めもの、卵白と貝柱の炒めもの、白キクラゲのデザートなどが紹介され、飲み物では、霊芝(れいし)、クコの実、麦門冬と白人参が入った3年熟成の紹興酒など、貴重な漢方をぜいたくに使用したオリジナルの薬用酒をリーズナブルな価格で味わえる。
・また、一品ずつ運ばれてくる食事は、料理に添えられた「漢方効能表」を見ながら堪能できる。
※ご紹介した3つの宿の温泉の様子やお食事は写真で掲載されているが、実際にどんなものであるかについては、本書をお読みください。

・本書では、「北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州」と、全国各地の温泉宿が27に分けて紹介されており、温泉の歴史と特徴、その宿のお食事が写真を通じて解説された構成となっている。
また、巻末には、元温泉療法医による「心身の健康をアップする温泉の効用」についても収録されている。

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