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松本和也「話し方は3割」

・本書は、元NHKアナウンサーで、「NHK紅白歌合戦」総合司会、「NHKのど自慢」司会、などを担当し、現在は経済界のリーダー層などのマンツーマン指導のほか、講演・研修・ワークショップなどを実施する著者が、人前で(あるいは、マイクの前、カメラの前で)、まとまった話をする機会、プレゼンテーションやスピーチをする際の具体的なテクニックを集め、とにかく実践できることを書いた1冊。

・「人前で」「まとまった内容の話」を「しっかりと伝える」ために必要な要素は、大きく分けて
①「話し方=いわゆる声を出して話す行為そのもの」
②「話す内容の仕上がり具合」
③「スライドなどの見せ方やしぐさ、服装、表情などの演出」という3つであり、これらの要素の重要性を割合で示すと、

話し方=3
話す内容=5
演出=2

になる。つまり、いちばん大事なのは「話す内容」である。

・聞き手にとって、あなたの話し方がうまいかどうかはそれほど重要ではない。重要なのは、「話している内容がよくわかること」である。滑らかでなくても、つっかえてもかまわない。とにかく聞き手が聞きやすい、わかりやすい話し方をする「聞き手優先主義」でいくこと。聞き手優先主義を心がけていれば、話し方そのものは、上手にならなくても、自然と、「あの人の話は聞きやすい」と評価されるようになる。

・伝わる話し方のテクニックとは、基本テクニックが、
①ゆっくり
②はっきり
③語りかける
上級テクニックとして、
④メリハリをつける
⑤ことばのエッジを立てる
がある。まずは、「ゆっくり話す」ところから始めること。人は、自分が思っているよりも、早口になってしまう。つまり、「自分の思いに自分の口がついて行けず、うまく話せない」のである。
・もちろん、時間に余裕のある方やプロの方の滑舌練習は否定しないが、滑舌練習をするよりも、まずは「ゆっくり話す」ことを意識してみること。あなたの話は聞き取ってもらってこそ意味がある。そのためには、ちゃんと聞き取ってもらえるようなスピードで話さなくてはならない。
※適切なスピードとは、「はっきり・語りかける・メリハリをつける・ことばのエッジを立てる」の詳細については本書をご覧ください。

・プレゼンテーションやスピーチでの話し方がうまくなりたいのであれば、「書く力」を磨くこと。「話すための原稿」を書くことを著者は強く薦めている。プレゼンで目的を達成(効果的に伝え、相手を動かしたかったら)、最初にすべきは、話す内容の原稿を書くこと。

・スライドは、原稿ができてから作成すること。プレゼンやスピーチの原稿を作成する場合、話す内容を一字一句、シナリオのように書くこと。こうすることで、自分の考えていること、言いたいことがいったん可視化されるというメリットがある。論理的に矛盾があったり、同じ話が繰り返されたりということは、いったん書いておけば見直したとき簡単にわかるようになる。これは、自分で話しているときには、なかなか気づきにくいもの。

・話す内容を自分で悩みながら原稿に書き、話す。この繰り返しをすることで、誰もがこの方法でだんだんと自然に話せるようになるのだ。

・本書では、「話し方の3つの基本テクと2つの上級テク」「話す力は、書く力」「インパクト大、差がつくプレゼンテーションでの話し方」「毎日がミニプレゼンテーション!さまざまな場での話し方」「オンライン!プロが教えるカメラ相手の話し方」という章で構成されており、「話しことばの原稿の構成法・「文」の秘訣」「ひとりで練習するときの3つのポイント」「急なご指名のスピーチで、好印象を持たせる方法」「プロが教えるオンラインでの話し方最重要項目3」など、会議、自己紹介、プレゼン、スピーチ、YouTubeなどの動画での配信、ラジオや音声SNSなど、さまざまな場面で活用できる、話し方のノウハウが収録された内容となっている。

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