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廣田早恵美「クレーム対応に困らないナースの「謝罪力」「交渉術」対人関係力を高める7つのレッスン」

・本書は、看護現場に17年勤め、現在は、コミュニケーション研修の講師として、またジャンルを問わず様々な人たちのパーソナルコーチとして、コーチングを提供する著者が、クレーマーから看護師(あなた)を守ることに特化した一冊。

・病院は「欲求のデパート」と言える。患者や家族は、疾患やけがの状態によって不自由を強いられ、様々な欲求を抱き、医療者に何とか解決してほしいと願っている。そこに、もともともっている仕事や家庭のストレスが加われば、医療者への欲求はさらに多様化する。こうした人々が、病院という1つの場所に多く集まるのだから、病院はいわば「欲求のデパート」状態となる。同じ症状や疾患であっても、実際には患者の数だけ特徴や違いがあり、一人ひとり話を聞くまでわからない。

・患者や家族は、病院に来る前から様々な不安やストレスを抱えているため、精神的にも肉体的にも過敏な状態になっている。ふだんは気にならない些細なことにも苦痛を感じ、怒りが湧きやすくなっている。検査や治療など医療者の対応だけでなく、他の患者の表情や言動も不安を増幅させる材料になることがある。こうした状態にある患者や家族とかかわる医療者には、そのような環境下でもそれぞれの専門性を発揮し、役割を全うする姿勢が求められる。そうなると、患者や家族だけでなく、冷静であることや適切な判断で迅速な行動をとることが要求される看護師も、過敏な状態になっているといえる。

・常に患者の安全を最優先に考え行動している看護師は、自分自身の心身の状態について鈍感になりやすい。患者の体調に合わせ、自分のことを後回しにした結果、自分への感度が鈍ってしまう。看護師も患者や家族と同じ人間。看護師が自分自身をきちんと労わなければ、ベストな状態で働くことはできないと認識すること。

・謝罪には「良い謝罪」と「悪い謝罪」がある。その選別に大きく影響するのが謝罪する姿勢、すなわち見た目の印象である。話している内容(言語による情報)は、言葉の意味を理解しようとする咀嚼する時間が必要だが、謝罪の姿勢(非言語的な情報)は、瞬時に眼から入ってきた状況を判断することができる。非言語的な情報の中でも視覚情報は、状況を判断するために最優先される情報といえる。

・まずはじめに優先すべきは、視覚情報である謝罪の姿勢である。この段階でクレーマーに敵意をもたれてしまうと、その後の話し合いにたどり着くのは困難になる。謝罪に相応しい姿勢によって、謝罪の意思を表現できるということは、クレーム対応がうまくいくかどうかの重要な鍵を握っている。
※謝罪の姿勢の「は・ひ・ふ・へ・ほ」というのがあるが、その詳細は本書をご覧ください。

・本書では、「クレームにつながる患者・家族の状態を知る」「クレーマーのレベルを見極める」「医療現場でみられるクレーマー事例」「「クレーム対応に必要な「謝罪力」」「クレーマーとの対話に使える「交渉術」「クレーム対応に備えた3つのセルフマネジメント」「看護場面から考えるコミュニケーショントレーニング」という章で構成されており、「クレーマーの心理」、「謝罪の方法(姿勢・フレーズ)」、「メンタルを安定させる小さな「習慣」づくり」「苦手な人とかかわるための3つの対処法」、「自分の価値観に気づくための3つのステップ」といったクレーム対応に使えるコミュニケーションのノウハウや事例が収録された内容となっている。

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