見出し画像

深井善光「摂食障害—身体にすり替えられたこころの痛みー」

・本書は、心療内科の医師である著者が、さまざまな質問を通じて、摂食障害についての疑問を答えた1冊。

・摂食障害=こころの奥にある対処困難な行き詰まりを、食や体型のこだわりにすり替え、食生活の異常と身体の不調を起こす病気。

・摂食障害は、どの要因が大きいかは患者さんや家庭により違うため、すべてに共通する原因を一言で示すことはできないが、はっきり言えることは、患者さんのこころが「生き辛さ」を感じていることは間違いない。

・摂食障害から抜け出すには、「食べる・食べない」という偽りの目的に惑わされずに、こころの生き辛さを発掘し、その解決に取り組むことが大切。

・摂食障害には拒食症や過食症以外にもさまざまな症状の方があり、小児の摂食障害は14種類に分類している。

・摂食障害(拒食症)は1980年代以前は女性に多い病気だったが、近年(2018年)は華奢な男性アイドルの人気や健康ブームから、男性にもある程度食べながらストイックにジムに通う拒食症も散見されている。

・テレビ番組の大食い選手権に出演しているフードファイターたちが食べても太らない理由は、「試合後に嘔吐する」、「消化吸収できない病気」のどちらかだから。早くたくさん食べられるフードファイターは普段から大食いの習慣があるため、胃袋が大きく引き伸ばされている。そのなかには、自ら食べ吐き対応の摂食障害であることを公言している人や、短腸症候群(消化・吸収する腸が生まれつき短い)、消化酵素
欠乏症(消化酵素がほとんど出ない)などの病気の人がいる。

・摂食障害には特定の原因があるのではなく、多くの要因が複合的に組み合わさって発症することが多い。発症のきっかけは、
①体系について人から言われた
②運動競技や習い事の悩み
③家族や友人のダイエット
など、さまざまである。

・拒食症の人が痩せていても食べないのは、たまたま減量の達成感に出会ってしまったから。摂食障害はこころの痛みを身体の苦痛にすり替えることで耐えている状態なので、「食べる・食べない」に注目せず、こころの痛みを和らげることに注目する。

本書では、「摂食障害とはなにか」「なぜ摂食障害が起こるのか」「摂食障害の事例」「摂食障害に隠された行動の意味」「摂食障害で起こる身体の変化」「摂食障害の治療法」という項目で摂食障害のアレコレが紹介された内容となっている。

#瞬読アウトプット  #1分書評 #ミネルヴァ書房 #摂食障害

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?