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茂木健一郎「70歳になってもボケない頭のつくり方」

・本書は、脳科学者で、脳と心の関係を探究し続けている著者が、最期まで若々しく、人生を謳歌するための健康寿命の延ばし方について解説した1冊。

・厚生労働省の「平均寿命の推移」を見ると、1950年の日本人の平均寿命は、女性61.5歳、男性58.0歳だったが、約70年後の2021年には、女性87.7歳、男性81.64歳と20年以上のびている。
・しかし、いくら寿命を100年に延ばせても、心身ともに健康でなければ、私たちの「クオリティ・オブ・ライフ」(生活の質)は低下してしまう。大切なのは「◯歳まで生きた」事実以上に、「充実した人生だった」と感じられる心の、あるいは脳のありようなのである。
・著者にとってのアイコン(理想)は、オノ・ヨーコ氏、養老孟司氏、日野原重明氏など、「いつまでも若い」ではなく「いつもエネルギッシュで」「自分らしく人生を楽しんでいること」である。

・「年齢」を考える際、私たちはよく「何歳まで生きられるか」といった「寿命」を気にしがちであるが、大切なのは、「健康寿命」(自らの足で立ち、歩き、食事や排せつ、思考や記憶もコントロールできる年月のこと)のほうかもしれない。
・「人生100年時代」と言われる現代、大切なのは、「100年生きること」ではなく、「100年、健康に生きること」なのである。

・認知症には根本から治す治療薬や万能薬は存在しないが、認知症になる確率を下げる方法はある。毎日規則正しく、栄養に配慮した食事や適度な運動をし、過度の飲酒や禁酒は避けること、適度な社会参加や、認知機能トレーニングを取り入れることで確率的に認知症になるリスクを下げることはできる。
※認知症リスクを下げる生活習慣が記載されているが、詳細は本書をご覧ください。

・一日の終わりに風呂に浸かっているときに、「ああ、あの時の言葉はこういう意味だったのか」と急に理解できたり、散歩中に、行き詰まっていた仕事の打開策が急にひらめいたりすることがあるが、これは「ディフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる脳の立派な機能の一つで、睡眠と覚醒の間、ボーッと心を彷徨わせている瞬間にこそ、脳は司令塔たる前頭葉に命令を出して、意識的に記憶を引っ張り出しているのだ。
・「ディフォルト・モード・ネットワーク」の働きは、若ければ若いほど、活発に機能していると言われており、年を取り、認知症が進んでいくと、この機能は活性化しなくなることがわかっている。その前に、ボーッと心を彷徨わす、徘徊人となる瞬間を意識して持つことを著者は薦めている。
・現代はスマホが登場してから「ディフォルト・モード・ネットワーク」が働かない「ボーッとする」時間を失った。「朝のこの時間帯は、スマホに触らず、散歩に出る」「電車に乗っているときは、スマホを出さない」「夜は、デジタルデトックスで、本を読む」など意識して日常生活でのデジタルデトックスの時間を持つことを著者はオススメしている。

・本書は、「老いと若さを分けるもの」「ボケない「生活習慣・遊び方・学び方・運動と食べ方」「自分らしい年の重ね方を探そう」という章で構成されており、「「定年」はチャンスと心得る」「年を取ったら「笑顔」を心掛ける」「コンビニで「生まれて初めて」を体験しよう」「「ど忘れ」をチャンスと心得る」「いくつになっても「憧れの人」を持つ」など、自分らしく、歳を重ねるためのヒントが紹介された内容となっている。また、本書の左ページの左下には「脳に効く!思い出しクイズ」が記載されており、深く考えさせられる問題が取り上げられている。

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