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井藤元、苫野一徳、小木曽由佳「教育観を磨く 子どもが輝く学校をめぐる旅」

・本書は、教育学、哲学、臨床心理学を専門とするなど教育に関わる3名の著者が、国内の個性豊かな4つの小中学校を、対話形式で紹介した1冊。

・本書で紹介している小中学校は、
◇北九州子どもの村小学校・中学校(福岡県)
◇伊那市立伊那小学校(長野県)
◇三河サドベリースクール・シードーム(愛知県)
◇横浜シュタイナー学園(神奈川県)
の4つ。
・これらの学校は、いずれも子どもの個性を何より重んじ、独自の教育理念に基づきながら、特色ある教育実践を行っている。

本書で取り上げられている小中学校の事例(一部)

①北九州子どもの村小学校・中学校
・こちらの学校の時間割を見てみると、小学校では1コマ90分・週14コマのうち、半分が「プロジェクト」や技術を習得されるように工夫された総合的な体験学習である。
・クラスは、このプロジェクトのテーマごとに編成されら様々な学年の児童・生徒が所属するので、必然的に1年生から6年生までの縦割り学級になる。
・1年間どのクラスで過ごすかは子ども自身が選択する。2022年度は、小学校・中学校でそれぞれ3つずつのプロジェクトが展開している。
・そのほかの時間は、プロジェクトの活動に関連づけて作成されたオリジナルのプリントを使って学習が進められている。宿題、テスト、通知表はない。
・学校法人である同校では、独特なカリキュラムか採用されているものの、学習指導要領に準拠した学びと認定されている点は注目に値する。
・プロジェクトの中で国語や算数、理科や社会、図工などの学びがカバーされており、「道徳」は制度上は全校ミーティングに読み替えられている。むしろ学校全体が道徳教育であるとも考えられる。
※本書では、学校の特徴のほか、学校訪問記や学校関係者のインタビューが収録されているが、詳細については、本書をお読みください。

・著者が考える教育のプロフェッショナルとは、
①教育の本質
②歴史を知る
③世界を知る
④教育の実証研究を知る
という4つのパースペクティブ(視野)を自覚的に持っていることである。
・教育のプロフェッショナルは、教育の原理的なところをちゃんと考え抜いていて、論じることができる。
・今の学生たち(教育学部)には、全部完璧に精通するのは難しいにしても、意識的にこれら4つは目配りをしてほしい、という著者(苫野氏)の思いがある。
・学校において、「完璧なユートピアは存在しない」。本当に大事なのは、足下をどうすればよりよい学校にしていけるか、一緒に作り合っていくという発想である。
・本書で紹介した学校も、ユートピアがあるわけではない。教育はすごく泥くさい営みだから、それぞれの現場は、日々いろいろな問題と格闘している。それでもなお、より良い学校を目指してみんなで作り合っていくのだ。
※本書で紹介されている4校を通じて見えた「教育の本質とは何か」について3名の著者が語っているが、その詳細は本書をお読みください。

・本書は、
◇北九州子どもの村小学校・中学校〜一人ひとりがみんなと自由に
◇伊那市立伊那小学校〜子どもは自ら求め、自ら決め出し、自ら動き出す〜
◇三河サドベリースクール・シードーム〜自分のことは自分で、みんなのことはみんなで〜
◇横浜シュタイナー学園〜子どもは自分の課題を持って生まれてくる
という4つの学校の概要、実践者のインタビュー等を通じて、これまでの常識を覆すような取り組みや考え方が紹介されている。
・そして、4校の旅を終えた後、著者同士が対談し、4校を通じて見えた教育の本質や、重要な観点について語っている。

・本書は、教師を目指す若い人たちをはじめ、教育に関わる多くの方々に、自分たちが経験してきた教育とは異なる教育の世界があることを知ってもらいたい、という思いからつくられた本である。

本書を通じて、「こんな教育もあるんだ!」を感じていただけたら幸いです。

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