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【PR】市川岳仁「アディクト(依存者)を超えて――ダルクの体験を経た9人の〈越境者〉の物語」

・本書は、薬物依存者の薬物依存症からの回復と社会復帰支援を目的とした回復支援施設のダルクの三重の代表を務める市川岳仁氏(以下、市川氏)を編著とし、「アディクションからの回復をはかる自助グループやダルクでの体験を踏まえた」9名が、アディクション(依存症)当事者から専門職へと変容し、その2つ(当事者・専門職)の視点を持ち得たいま、その位置から見えたものとは、資格取得に至るプロセスがどのようであったかなどについて語った1冊。

・編著を担当した市川氏は、アディクション当事者であることに安心感と役割意識を得た人が、今度は逆にその当事者性によって閉塞感やしんどさに駆られたとき、そこからどう自分をエスケープさせて生き延びていくことかできるか。
・そのプロセスを複数の人の経験から書き残しておくことは、きっと役に立つと考え、本書を企画した。

・アディクションの「当事者」として、一旦強くアイデンティファイされた人が、それと異なる立ち位置を得るための、もっともシンプルな方法の一つは、資格などを取ることによって、わかりやすい別のアイデンティティを手に入れることだろう。
・自分の存在と社会的役割が同一化して、さらにそれが固定化されてしまいやすい環境にいる人にとって、資格の取得はとてもわかりやすいそこからの離脱の手段となる。
・しかし、本書は資格を取ることを奨める本ではない。この本で表したかったのは、かつて当事者であることに強く依拠していた私たちが、人生における多様な自分の側面(多様性)に気づいたり、自由を手に入れていったその過程のほうなのだ。

・本書は、
第1章 日常的に大麻や違法薬物をを使い続けた元薬物依存者で、現在、沖縄で就労継続支援B型事業所の管理者として活動する男性
第2章 薬物のアディクトで、現在は社会福祉士として、福祉の仕事と子育ての毎日でバタバタと忙しい毎日を送る女性
第3章 18歳で初めて依存症と言われ、ダルクや精神病院をつないながらなんとか生き延び、現在は二児の母で、精神保健福祉センターで依存症相談員として働く女性
など、合計9名のアディクション当事者から専門職という2つの視点を持ち得た方々の物語が収録されており、
◇回復過程において経験された「役割の変化」と「それに伴う気づき」に触れた執筆者の原稿
◇回復過程において経験される「当事者」に求められる役割への違和感に関する記述のほか、当事者として、専門職として、それぞれの現場で取り組みたいことなど
◇それぞれの「学び」の過程における戸惑いやチャレンジ
といった記述が収められている。

・本書の執筆者たちは、各々がある時点において回復の第二の物語ともいえる「アディクション当事者」以外のアイデンティティを得ている。
・それは、資格のような自ら望んで手に入れたものもあれば、親になるなど、ライフイベントによって生じたもの(役割)もある。いずれにせよ、彼らは、ある時から「回復中のアディクト」であるだけではなくなったのだ。

・終章(むすびにかえて)では、
◇「地域」で一人の人として生きるー回復の第二の物語の存在
◇「当事者」としての役割を期待する力
◇何者になっていい
◇越境者たちーこれからの時代に向けて僕たちが取り組んでいきたいこと
◇付録ー執筆メンバーによるメタローグ
という項目で、市川氏が、9名の執筆者の描いた物語をまとめ、考察した内容が収められている。

本書に収録されている物語は、どこから読んでも問題ないとのこと。本書の指し示す視点が、多くの当事者や専門家たちのこれからに寄与することができたら幸いです。

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