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【二次創作小説】あの子との距離③ 〜牽制

こちらは「太陽よりも眩しい星」の二次創作小説です。
過去の内容はこちら。
①研修旅行→ 
②英フェス→


俺には好きな子がいる。
その子に見合う男になるため、スポーツも勉強もがんばってきた。

でも小1からの友達だから、なかなか恋愛モードにはならない。
最近は男として意識してもらえるように距離を近づけてるつもりだけど、にぶいからちっとも伝わらない。


そろそろ一学期が終わる。

本州よりはましなんだろうけど、札幌でも7月はかなり暑い。
部活の朝練に出ると授業中はめちゃくちゃ眠くなるけど、厳しい先生とかもいるから寝ないように気をつけなきゃならない。

岩田と鮎川はどんどん仲良くなってる。
俺の席は鮎川の2コ後ろだから、鮎川と隣の席の岩田がよく見える。
前よりもよく話すふたりを毎日見るのは、わりときつい。

でも夏休みになれば、ふたりが会うことはないだろう。
それに俺と岩田は映画に行く。
楽しみしかない。

部活中はもちろんサッカーに集中するけど、合間にテニス部の岩田も確認する。
今日はいつの間にか姿が見えなくなってるのが気になる。

岩田はスポーツ万能だが、テニスも相当上手い。
サーブが重いのが遠目にもわかる。
ボールに集中して躍動する岩田の姿を見るのが俺は好きだ。
それにもしかしたら部活つながりで好きな奴がいるのかもしれないし、グラウンドで岩田に惚れる奴がいるかもしれない。
いつだって油断はできない。

部活が終わり、いつものように渡辺と帰ろうとしたら、渡辺は職員室に寄っていくと言う。

「バリアート叱られた〜!これから職員室」
「やっぱな!」
「でも校則にないじゃん。だから死守する」
「時間かかる?」
「先生も早く終わらせたいんじゃない?」
「んじゃ待ってる」

渡辺と一緒に職員室を覗いてみたが、岩田はいない。
そりゃそーだよな、優等生だもん。
呼び出されることはないよな。
どこ行ったんだろ?

渡辺が職員室に入っていったので、俺は暇つぶしに持ってたボールでリフティングすることにした。
と、どこかから岩田の声が聞こえてきた。

「鮎川くん私もう詰んでる?」
「まあ」
「王手して取っちゃってよ〜!」
「岩田さんが負けましたって言わないと」

…鮎川って言った?
慌てて声がした教室に向かい、キュッとボールを足で止める。

鮎川と岩田がいた。
ふたりきりで将棋盤を囲んでいる。

鮎川、将棋部だっけ。
ふたりがこちらを見たので声をかける。

「ルールわかんないけどどういう状況?」
「鮎川くん強くて」
「遊ばれた?」
「うん」

鮎川が淡々と真顔で言う。
「すぐ終わったらもったいないと思って」

頭の中にアラートが鳴り響く。

俺には将棋はよくわからないけど、鮎川の駒台には載せきれないほど大量の駒がある。
長い対局だったんだろう。

鮎川は本気で言ってる。

「あ、いつもひとりでやってるから?」
岩田は相変わらずにぶい。

「うん」
鮎川は頷いているが、それだけとは思えない。

「強そうだな、鮎川」
とりあえず俺は岩田の背後から机に手をついて、距離感の近さをアピールすることにした。

笑顔は崩さない。
そしてぜったい目を逸らさない。
鮎川に気持ちが伝わればいい。
岩田は俺のだ。

気にせず鮎川が話しかけてくる。
「サッカー部だっけ?部活終わったの?」
「うん」
動じない。鮎川、メンタル強いな。

「…ひとりで帰るの?」
岩田の質問。

「いや、今 渡辺が先生に怒られてて待ってんの」
笑顔で返す。
あー、渡辺を待つ約束しなければ岩田と帰れたな。
失敗した。

「なんで?」
鮎川が会話を続ける。
直接知らない渡辺を気にかけてる。
鮎川、やっぱいいヤツなんだよなぁ。

「渡辺バリアート入れてさ」
「バリアート?あ、こういうやつ?」
「そう」

鮎川と話してたら、俺の腕の下からそっと抜け出した岩田が帰ると言い出した。

「岩田さん、気が向いたらまた来て」
ほんと、メンタルつよ!

慌てて俺も言う。
「岩田。休みわかったら夜ラインすんね!」
「うん」

休みの日に一緒に出かけることも、LINE交換したことも鮎川に伝わったはずだ。 

「じゃあ鮎川、またな」
「うん、また明日」

将棋部の部室を出たら膝の力が抜けそうになった。
隣の席なだけじゃなくて放課後も一緒にいるのかよ!

映画が勝負だ。
岩田に男として意識してもらわなきゃ。


あっという間に夏休みが終わり、新学期が始まった。

岩田と行った映画は最高に楽しかった。

いや、映画じたいはいいところで「続き」になっちゃって拍子抜けしたんだけど、1日中岩田と一緒でいろんなことを話して、小学生の頃の距離感が戻ってきた気がする。

岩田は記憶力が良くて昔のこともよく覚えてた。
俺のエピソードは変なのばっかりだったけど。
あれじゃ恋愛対象にはならないよな。

でも言おうと思ってたこともぜんぶ言えたし、ちょっとずつ男として見てもらうしかない。
続編を観に行く約束もできたし上々だ。

北高の次のイベントは学祭。
頼られがちな岩田がすげー大変なやつ。
助けようとしても「大丈夫」って言われちゃうから、俺が先回りして動いて頼りがいがあるとこ見せるんだ。

(続く)


書き手のちーです。
書きたかった場面に全然辿りつきませんw
ちゃんと書き上げられるのか不安しかないです(笑)

原作とは別次元なので、のんびり書いていこうかな…と割り切りモードも入りつつ。
できるとこまで書いてみますね。

なお朔英が映画の時に神城の昔のエピソードをたくさん覚えてたくだりは、
「好きだからでしょ!」
「自分も朔英のことはよく覚えてたでしょ!」
とツッコミながら読んでいただければ幸いです。

もしよろしければ次回もご覧ください。

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