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書きたいことを発酵させるか、鮮度重視で書くか

書いては消してを繰り返して、いまの自分には書けないことばかりだなぁと思うなど。少しずつ読み進めている外山滋比古さんの『思考の整理学』に書いてあった、素材はしばらく寝かせて発酵させるというトピックスを思い出した。

たとえばビールづくりには、麦という素材だけでなく、酵母と寝かせる時間が必要。同じく面白い論文を書くのにも、素材だけじゃなく酵母となる別のアイデアをかけ合わせることや、寝かせて熟成させる時間が必要だと外山さんはいう。ビールづくりのたとえは、まさに説明をわかりやすく言い当てたような表現で、納得感があった。

いちアイデアとしてもそうなのだけど、個人的には、ときに自分の言葉にできるまでにも、この発酵を必要とする感覚がある。まだ自分の言葉で伝えられないと思うときは、酵母(別のアイデアや思考など)もしくは発酵させるだけの時間が足りてないことが多い。

かといって、今はうまく言葉にできないからと放置してたら発酵するよりに前に腐ってしまうこともあって、その塩梅がむずかしい。思い返せば、書きたかったはずのことを放置してそのうち忘れて、ということが何回もあった。そうやって書きたいものを腐らせてしまうのは、もったいないよなぁ。「書きたい」と思うくらいには、伝えたい気持ちや残しておきたい感情があったのだから。

そう考えると、心が動いたことについて書くなら、すぐに書くのがいちばん。たとえうまく書けないとしても、鮮度が落ちるよりも前に、新鮮な気持ちで書くほうがずっといい。

誰かに見せるブログでなくても、日記とかメモアプリに残しておけば、少なくともなかったことにはならないから、一旦、自分のために書いてみるのもいいのかなと思う。納得いくかたちで書けたらそれでいいし、そうじゃないときも、いつか発酵してまた別の文章につながるかもしれない。

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