ゴールデンウィーク最終日の日記

朝帰りの5時すぎ、渋谷を歩いていたらどこからともなく沢山の人が駅へと流れてきて、この時間までみんなどこにいたのと不思議な気持ちになった。日曜の朝なのに、というより日曜の朝だからこそ忙しない渋谷。友達と朝までガラガラのすしざんまいで過ごした日だった。すしざんまいだなんて、自分も大人になったなあと思う。

道路脇に置き去りの氷結、飲みかけのポカリ。植え込みの段差に並んで座り込んで、それぞれカップラーメン、袋入りの千切りキャベツにお箸を突っ込んで食べてる若い男性ふたり。いろんな人とすれ違って歩く。お店を出たときにはどんより曇っていたのに、6時近くになるとすっかり晴れて昼みたいに明るくて、自分何してるんだろうと少し情けない気分になった。たのしかったからいいのだけど。


家に帰ってからは、シャワー浴びてグリーンダカラを飲みながら、TBS系火曜ドラマの「持続可能な恋ですか?」をまとめて観た。

上野樹里さん、田中圭さん、磯村勇斗さん、松重豊さん、井川遥さん……キャストが完璧でグッとくる演技とビジュアルで、さらに脚本もよくて、即刻ハマったドラマに認定した。王道という恋愛の正解みたいな描き方じゃなく、登場人物それぞれの恋愛や結婚への思いと葛藤が丁寧に描かれてているところも、なかなか縮まらないもどかしい距離感にドキドキワクワクさせてくれるストーリー展開も好み。

そして松重さん演じる林太郎(上野樹里さん演じる杏花のお父さん)が辞書の編纂者で、王道の恋愛からは取りこぼしてしまうような思いをも、丁寧な言葉で拾い上げてくれているのがたまらなく好きで、何回か泣いた。恋愛とか結婚観の面で、ちょっぴり救われた気持ちになった。


それから、太宰治の『人間失格』を読み返すなどした。『人間失格』を読み返したのは久しぶりで、どんよりした気持ちになった。主人公が自分の大切なひとと重なってみえる部分があって、胸が苦しくなる。

『走れメロス』であれほど信頼という人間の綺麗な部分を心から信じて描き出すような物語を描いている一方で、『人間失格』で人間のどうしようもないダメな部分、嫌な一面、誰にも見せたくなくて隠している黒いものを描いているギャップが不思議。最近『走れメロス』も読み返したばかりだったから、同じ人が書いたと思えない作風だなと思ってしまった。両方を描ける作家だからこそ、両方ともに説得力があるのかなあ。


あとフジファブリックの志村正彦さんの日記(ブログ)をまとめた『東京、音楽、ロックンロール』も半分くらいまで読んだ。志村さんが、どこまでも音楽に真摯なひとだったことを知った。

『茜色の夕日』について、曲が生まれた簡単な経緯に加えて「言ってしまえば初めて本当のことが言えた曲です」と書いてあって、そういう心でもって作られた曲だからこそ、誰かの心を動かせるんだと思った。『茜色の夕日』は自分が高校生の頃と、東京で一人暮らしを始めた頃に何度も繰り返し聴いた曲でもある。その歌詞やメロディーに、上京したてだった頃の志村さんが自身の思いを重ねたのかなと勝手に想像した。『若者のすべて』についても少し記述があって、うれしかった。本人も手応えを感じていた曲だそうで、たしかに、間違いなくずっと色褪せない名曲だと思った。

そんなこんなで、仕事は最低限のみでゴールデンウィークがおわった。長期休暇で仕事が捗ることってなかなかなくて、いつも好きなことばっかりしちゃう。



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