使える語彙と表現の幅が広がるとき

さっき読み終えたばかりの本の感想をスマホ画面に書き落としながら、その文章表現に頭を悩ませている自分がいることに気づいた。「ここは『すごいと思った』より『驚かされた』かな」とか、「この感情は『じんわり広がる後味の悪さ』で合ってるかな」とか。

別に誰に見せるわけでもないし、立派な書評でもなんでもない。それでも、自分が思うぴったりの言葉で、感想を書き残したかった。

自分の心が動いたことを、自分なりの言葉で表現したい。本に限らず、映画や舞台、伝統芸能、何かしらのエンタメやカルチャーに触れたときには、そんな感情が湧き起こる。自分が使える言葉という意味での語彙は、こうして増えていくものなんだなと思った。


ここ1年くらい、自分の文章表現の奥行きのなさに気づいて、どうしたものかと考えていた。仕事で書かせてもらう文章も、なんだかのっぺりして見える。もっと表現に幅のある、読み応えのある文章を書きたいと思っていた。でも、何をどうすればいいのかわからない。それがあっての、冒頭の出来事である。

これまで、語彙を増やして表現の幅を広げてくれるのは「本を読むこと」ばかりに思っていたけれど、それだけじゃないらしい。心が動いたことについて、できるだけ自分の感情や思いにしっくりくる言葉を探すことで増える語彙、広がる表現もある。

子どもの頃に見えてた世界はもっと心躍るもので、わくわくすることで溢れていた。それに触れて、ときに親や誰かに話したいと思って、使える言葉を増やしてきた部分もあったんだろうか。なんて脱線したことを考える。

語彙を増やすには、本を読んで自分のなかにない言葉や表現に出会うことだってもちろん大事だ。ただ、わたしの場合はそれだと「新しく知った言葉」が増えるばかりで、「使える言葉」にはならない気がする。だから本に限らず、自分の心を動かすものにたくさん出会って触れて、そこで湧き出る自分の感情や思いでもって、「使える言葉」を増やしていけたらと思う。それで、いつの間にやら、いまよりもっと深みのある面白い文章が書ける自分になってたらいいのになあ。

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