見出し画像

もう恋なんてしない、の矛盾。

もう恋なんてしない、という槇原敬之さんの曲。

同じような意味合いのタイトルの曲が洋楽にある。

I’ll never fall in love againという、ディオンヌ・ワーウィックという女性歌手が歌っている。邦題は「恋にさようなら」だけど、直訳だともう恋なんてしない、もぴったりあてはまる。

アメリカでは結構売れた曲で、歌ったディオンヌ・ワーウィック(Dionne Warwick)も有名な方。ホイットニー・ヒューストンの従姉妹らしい。すごく可愛くて聴きやすい曲だ。

マッキーこと槇原敬之さんがこの曲に着想を得たのかはわからないけど、2つの曲には面白い共通点がある。


それは、どちらもタイトルではもう恋なんてしない!って言ってるのに中身は矛盾していること。笑

ちょっと歌詞を見てみる。まず、槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」から。

最初、主人公が恋人の不在に強がるところから始まる。でもやっぱり淋しいとこう歌う。

一緒にいるときは きゅうくつに思えるけど
やっと自由を手に入れた ぼくはもっと淋しくなった

この部分を聴いて私はZARDの「マイフレンド」を連想した。「ひとりでいる時の淋しさより 二人でいる時の孤独のほうが哀しい」という部分。

もしかしたらそう思って、「もう恋なんてしない」の主人公は恋人と別れたのかもしれない。でもやっぱりひとりでいる時の淋しさは残る。

さよならと言った君の 気持ちはわからないけど
いつもよりながめがいい 左に少し とまどってるよ
もし君に一つだけ 強がりを言えるのなら
もう恋なんてしないなんて 言わないよ絶対

サビの最後、もう恋なんてしないなんて言わないという二重否定。この曲のタイトルはもう恋なんてしない、だけどそれを否定している。

2番のサビ

君あての郵便が ポストに届いてるうちは
かたすみで迷っている 背中を思って 心配だけど
2人で出せなかった答えは 今度出会える
君の知らない誰かと 見つけてみせるから

未練がなくなってきているのか、やっぱりまだ強がりなのかわからないけれど、次の恋について歌っている。


続いてI’ll never fall in love againの歌詞を一部抜粋・和訳してみる。

Don’t tell me what it's all about
'Cause I've been there and I'm glad I'm out
Out of those chains those chains that bind you
That is why I'm here to remind you

恋についてとやかく私に言わないで
だって私はずっと渦中にいて、縛られていた鎖からやっと解かれて嬉しいんだから
だから私が今ここであなたに思い出させてあげてるの

What do you get when you fall in love?
You only get lies and pain and sorrow
So for at least until tomorrow
I'll never fall in love again
I'll never fall in love again

恋をして得られるものって何?
嘘と胸の痛み、そして悲しみだけ
だから少なくとも明日までは
私は二度と恋はしない
二度と恋なんてしないわ

I’ll never fall in love again/Dionne Warwick

和訳は適当に私がつけました。大意はあってるかな、と思いますがもっと良い訳はググれば出てくるかと。笑

何より伝えたいのは、主人公が恋のつらさを嘆いているかと思いきや、少なくとも明日まではって、みじか!!ってお話。

やっと恋によってがんじがらめになっていたのから解放された、そして恋の痛みも味わったのに、明日までは!っていうあたり、ハリウッド映画の超ポジティブな、喜怒哀楽の激しいキャラクターに出てきそうな感じすらある。笑

でもこれは、そういう人たちだけが通る道ではないんだろう。

まとめると、槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」も、ディオンヌ・ワーウィックのI’ll never fall in love againも、結局次の恋する気あるんかい、っていうツッコミが成立する。

それくらい、恋はしない!って決めてせずにいられるものではない。一度の恋で傷ついても、次の恋をしたくなってしまう。自分がしたいかしたくないかに構わず、いつのまにかして恋しまうものでもある。そういったことは万国共通なのかもしれない。


あー、恋したい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?