パクチーくんとシナモンちゃん ep3
やってまいりました、旅行編。または、「壮大なるお出かけ」編。
4月のある土曜日。パクチーくんの車で2時間のドライブへ。
後部座席に乗ろうと思ったが、「助手席にどちらかがいてほしい」というパクチーの要望で、往路は私が助手席に座ることになった。
なんとなく、パクチーくんは、後部座席で私たちだけ喋って盛り上がるのを恐れているのかな、とか、そうしたら運転手扱いみたいだもんな、と読み取った。
さあ、まずは昼食までのドライブ。
職場の話から始まり、好きな食べ物、今まで言った旅行先などが話に上がった。
話題を出したり質問するのはパクチー君で、まず私が答えて、私がシナモンちゃんに話を振って、、という流れが多かった。
今思うと、ここでも違和感が。
違和感その1。シナモンちゃんが、話に乗ってこない。
「旅行で○○に行った」、と誰かが話したら、「私も行ったことある!どの辺りに行った?」
などと会話って弾んでいくものだと思うんだけど、
パクチー「旅行先おすすめとかある?」
私「〇〇とか、△△よかったよー。シナモンちゃんは?」
シナモン「あんまり多くは行ってないけど、◇◇かな。あと、○○は私も行ったことがある」
みたいな流れが始終続く。分かるだろうか。
私が〇〇について話していて、彼女も行ったことがあっても、私が話している間は何の反応もしない。
私やパクチーくんが話している間、まったく話に入ってこないし、相槌の声も聞こえない。
私とパクチーだけで話しているようで、仲間外れ感があるのかと思って、彼女に話を振るときは、振り返って話すようにもした。一応は聞いているようだった。
その後も、好きな食べ物、ペットを飼っているか、etc. 話題は移り変わっているんだけど、
必ず、
パクチー (質問を投げかける)
→ 私 (回答)
→私かパクチー(同じ質問をシナモンに)
→シナモン (回答)
の流れなのである。
なんか、テニスのラリー練習みたいなイメージと言うか。
ずっと、A→B→C→A→B……みたいな一定の流れ。
しかも盛り上がらず1ラリーで終わってしまう。
ああキツい。話題と話題の間の沈黙が来るたびにいたたまれない。
さっきから同じ型を繰り返しているなー。つまんない。
と思いつつ、私は違和感その2をパクチーに対しても感じていた。
会話をキャッチボールに例えると、ボールが必ず、吸い込まれるように彼のもとに戻っていくのである。
話の分量も、パクチーくんが最終的に自分のことを多くしゃべっている。
私とシナモンちゃんが話下手だから?
いや、そもそも出される話題すべて、彼が話したいことの前フリとして私たちに質問しているのだ。
その実、私やシナモンちゃんが話しても、「へー、そうなんや」「そうなん?」とか、シナモンちゃんよりはましなものの、どこか上の空なのである。
そして何について話していても、「俺」の話に戻る。
旅行先の話でも、
「俺」が車でいくつの都道府県にいったか、「俺」が最高で何時間運転したか、、、
ぜんぶ、「俺」「俺」、 俺!俺!Ole!Ole!
♪Ah~~~!! 真夏の Jamboree レゲエ<砂浜<<Big Wave !!
と私の脳内で湘南乃風が睡蓮花を熱唱し始めた頃、
(いや冗談じゃなく、イライラしすぎて本当に脳内で爆音で流れていた。私がキレずに済んだのはこのパーティーチューンに意識を飛ばしたおかげだと思う)
私とパクチーくんに共通点が見つかった。
2人ともあんこ嫌いだったのだ。(私は元あんこぎらいだったが)
鉱山の中の金塊、洞窟の中から差し込んだ日の光。希望の光が見えたかも!
「俺物語」に終止符が打たれ、少しは私に興味を持ってくれて
(恋愛的ない意味ではもちろん全くないが)
共感しあって楽しいコミュニケーションができるかも!!
と思い、パクチーくんが、あんこ嫌いをどうやって克服したのかと私に聞いてきたので、私は調子に乗って話した。
大学の時に友達からもらった白あんのお菓子が美味しかったこと。
栗あん、抹茶あんなど、いわゆる「あんこ」じゃないものから食べていくと、小豆のあんこも食べれるようになったこと。
だから、そういうのから始めてみると食べられるようになるかも、と。
「へー。」と言ってくれた。シナモンちゃんも聞いてくれていた。
次の瞬間、パクチーはこういった。無表情で。
「でも俺は無理やな。」
食べる人の気が知れない、みたいな言い方だった…………。
…………………………。
私は思わず心の中で叫んだ。
あんこだってお前なんかに食われたかねーよ!!!こっちから願い下げだわ!!!!!
現実は、「あーそっか…..」みたいに返したと思うが。
はあ?じゃあなんで聞いたん?って話である。。。
ガラガラガラガラ、ピシャン。
私の心のシャッターが閉まった音がした。
さあ、ここまでで、出発からまだ1時間半あたり。
始まったばかりの往復4時間の旅。
私は耐えられるのだろうか。
次回、「美味しいグルメに世界遺産、それらは全然悪くない!そして避けられなかった温泉、、、、帰りは私が無言に。12時間地獄旅!!」の巻です。
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