金融の始まり

1.銀行業が求めたもの
2.国際証券市場の誕生
3.運用業務と技術革新

1銀行業が求めたもの。

2000年代から現在ほど銀行のことが一般の人々の眼前に晒されていた時期は無いでしょう。銀行の実態。つまり、どの程度の資金でどんな相手にどれくらい貸し付けを行なっているのか。また金融新技術と呼ばれる複雑な取引をどんな目的で利用していたのかが明らかになりました。現在の日本大手銀行は合併や提携によって破綻の危機から脱出した感がありますが、最近は他業種からの新規参入の動き、外国銀行の攻勢を考えると少し険しい道のりでもあると思います。さて、同じ銀行といっても日本の銀行・欧州の銀行・米国の銀行等それぞれに特徴があり、その歴史も様々です。そして金融技術の導入の仕方にも違いがあります。その技術に対する考え方の差は、その地域や国の銀行の置かれた立場を表しているようです。

銀行は米国から始まった

現在の銀行の発祥に近しいのは、資本主義の根幹をなす資本形態と密接に結びついて発展してきた集まりとしての始まり。それは米国の金融資本が起源であるのです。1900年代半ばから石油資本のロックフェラー家、鉄道資本と結びついたモルガン家が銀行としての現代金融の基礎を作ったと言えます。英国の産業革命から遅れて発達した米国産業は、まさにこの民間の金融資本と一体化しながら巨大化していくのです。一方、日本では新一万円札になる渋沢栄一が国立銀行条例で銀行制度を立ち上げたものの、純粋な民間資本の力での発展は、まだまだ先の話になります。また欧州は、英国で貿易業務における手形引受や海外金融の仲介を中心として、独自の形で銀行運営を発展させていきました。現存している世界の銀行を見てみると、『産業資本と密接に結びついた金融資本』という構図から発生した米国流資本が勢いを保持しています。なぜか⁉️

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