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『どうぶつの森』で結婚相手を見つけました


きっかけ


仕事の人間関係に悩み

不眠症が悪化して

一日の中で偏頭痛と吐き気がない時間のほうが珍しいという状態になっていた頃

当時の彼氏(現在の夫)が

3DSと『とびだせ どうぶつの森』を持って部屋に来た。


「眠れない夜は釣りでもしたら。」
とのこと。


今まで 勉強一筋 仕事一筋 で、ゲームなんてやったことのない私には思いつかない発想だった。


なるほど。釣りのゲームね。

(後にすぐ勘違いが判明)



その日から毎晩、私は3DSの中で村長として暮らし始めた。

誰にも邪魔されない月夜の海釣りは、穏やかな静寂と小さな達成感が心地よく、今まで泣き腫らした顔で朝日を睨んでいた自分が少しずつ消え去っていった。


このゲームに救われたこと

・ノルマに追われない
・住民の距離感がちょうどよい
・お金を稼ぐ快感がある
・春夏秋冬を感じられる
・南の島に旅行できる
・主人公が寝てくれる
・真面目なしずえさんの存在



・ノルマに追われない


現実は仕事のノルマに押し潰されそうになっていたので、主人公が何もしなくてもほどほどに楽しく生活できている姿が微笑ましく、肩の力が抜けていった。


・住民の距離感が心地よい


こちらから話しかけない限りは近づいてこない、無理矢理こちらのテリトリーに入ってこない、トラブルがあっても長く引きずらない、というのはまさに理想的で心地よかった。


・お金を稼ぐ快感がある


現実は奨学金と仕送りと家賃でかつかつだったので、ベル(お金)が増えるとゲーム内だと分かっていても少し快感があった。


・春夏秋冬の季節を感じられる


イースターや花火大会やハロウィンやクリスマスなど、現実では見逃しがちな季節のうつろいを体感できるイベントが随所にちりばめられ、人間を取り戻したような感覚になった。


・南の島に旅行できる


現実では旅行に行く余裕が全くなかったので、簡単に船で南の島へ逃避旅行が出来るのは気分転換になった。


・主人公が眠ってくれる


私が眠れなかったので、代わりに主人公がベッドに横たわり目を閉じて寝るアクションをしてくれると、自分が休まっているように思えて嬉しかった。


・真面目なしずえさんの存在


これが1番大きかった。


しずえさんは村長の秘書だ。


明るくて、しっかり者で、真面目で、一生懸命で、いつも必死に秘書としての仕事をたった一人で頑張り続けているしずえさんを見ると、真面目さ故に惨めな思いをする経験ばかり重ねる自分に嫌気がさす時も(いや、しずえさんは素晴らしい。私もしずえさんのように働きたい。どんな時も自分の信念を貫いて働こう!)と思い、気持ちを立て直すことができた。




結婚の裏にある秘密


「眠れない夜は釣りでもしたら。」


そのひとことから、私はすっかり元気になった。いつの間にか夜は眠れるようになり、心身の健康を取り戻すことができた。

そして、この人は命の恩人かもしれないと思うようになった。

休日にふたりで3DSを覗きこみ、スマホで攻略法を調べながら魚を釣っていたら

ふと隣から

「この村はしずえさんの真面目さに支えられているよね。」

という声が聞こえてきた。


(あ、この人だ。)と確信した。


そういう感覚を

大切にしている人を

私は大切にしたい。



後にプロポーズされた際
私は即イエスを伝えたが、いつから結婚を意識したかの質問に対しては何年経っても答えを教えていない。

まさか、しずえさんがきっかけだとは想定外だろう。


今さら伝えるのも恥ずかしいこの秘密は、スコップで掘った穴に埋めておこう。


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