見出し画像

EV車を構成する主要パーツに関する動向

EV車は世界的に普及が加速しています。最も重要なパーツとして、(1)駆動用モーターと(2)全固体電池と(3)カメラ関連デバイスが挙げられますが、これら主要パーツの【市場推移】、【主要プレイヤー】、【研究開発投資額】、【最新技術動向】、【課題】、【今後の方向性(取り組み)】についてまとめてみました。


1.駆動用モーター

1-1.市場推移

駆動用モーター市場は、電動車(EV)の普及に伴い急速に成長しています。2019年の市場規模は約30億ドル。2025年には100億ドルを超えると予測されています。年平均成長率(CAGR)は約13%です​​。

1-2.主要プレイヤー

  • テスラ:モデル3の駆動用モーターは、1つのステーターと2つのローターを持つパフォーマンスモーター。生産コストを削減しながら高性能を維持しています。

  • BYD:E6やTangなどのモデルに高効率な駆動用モーターを採用。内製化によりコスト削減を実現しています。

  • 日産自動車:リーフに搭載されているモーターは、最大出力110kW、最大トルク320Nm。耐久性と効率の両立を目指しています​​。

1-3.研究開発投資額

  • テスラは駆動用モーターの開発に年間約5億ドルを投資しています。

  • BYDは年間約3億ドルをモーター技術の研究に投入しています。

  • 日産は年間約2.5億ドルを駆動用モーターの改良と効率化に投資をしています​​。

1-4.最新技術動向

  • 高効率化:スイッチトリラクタンスモーター(SRM)などの新技術により、モーター効率の向上を図っています。

  • 軽量化:新しいアルミニウム合金の使用やモーター設計の最適化により、モーターの軽量化を実現しています。

  • 磁石材料の代替:レアアースの使用を減らすために、フェライト磁石の利用が進められています​​。

1-5.課題

  • コストの高さ:高性能モーターは製造コストが高いため、価格競争力を持たせるためのコスト削減が必要です。

  • 資源確保:レアアースなどの材料の供給リスクがあるため、安定供給が今後の課題です。

  • 冷却技術:高性能モーターは発熱量が大きいため、効果的な冷却システムが求められています​​。

1-6.今後の方向性(取り組み)

  • モジュール化設計:モジュール化により製造コストの削減と生産効率の向上を図ります。

  • 資源効率の向上:リサイクル技術の研究や新材料の開発を進めます。

  • 新材料の研究:ナノ材料の利用や新しい合金の開発により性能向上とコスト削減を目指します​​。

2.全固体電池

2-1.市場推移

2020年の市場規模は約1億ドル。2027年には約13億ドルに達すると予測されています。CAGRは約36%です​​。

2-2.主要プレイヤー

  • トヨタ:2025年までに全固体電池を搭載したEVの量産を目指しています。試作段階では既に高エネルギー密度を実現しています。

  • パナソニック:複数の全固体電池プロジェクトを進行中で、リチウムイオン電池からの移行を推進しています。

  • サムスン:高エネルギー密度と安全性を兼ね備えた全固体電池の開発に注力しています​​。

2-3.研究開発投資額

  • トヨタは年間約10億ドルを全固体電池の研究開発に投資しています。

  • パナソニックは年間約8億ドルを投入し、商用化を目指しています。

  • サムスンは年間約7億ドルを投資し、新素材の開発と製造プロセスの確立に取り組んでいます​​。

2-4.最新技術動向

  • 電解質材料の改良:硫化物系、酸化物系の電解質材料が注目されており、導電性と安定性の両立が進んでいます。

  • 高エネルギー密度化:新しい電極材料の開発により、エネルギー密度の向上を目指しています。

  • 安全性向上:自己消火性の材料や過充電保護技術の導入により、安全性が向上しています​​。

2-5.課題

  • 生産コスト:高性能電解質材料のコストが高く、量産に向けたコスト削減が課題です。

  • 製造技術:大規模量産に対応する製造技術の確立が必要です。

  • 長寿命化:充放電サイクル寿命を延ばすための材料開発が進行中です​​。

2-6.今後の方向性(取り組み)

  • 量産技術の確立:自動化生産ラインの導入によりコスト削減と量産対応を進めます。

  • リサイクル技術の開発:全固体電池のリサイクル技術を確立し、資源の有効利用を図ります。

  • 国際標準化:国際規格の制定と標準化に向けた取り組みを推進します​​​

3.カメラ関連デバイス

3-1.市場推移

  • 2019年の市場規模は約7億ドル。2025年には約25億ドルに達すると予測されています。CAGRは約20%です​​。

3-2.主要プレイヤー

  • ソニー:車載カメラ用の高性能イメージセンサーを提供し、自動運転技術に不可欠なセンサー技術をリードしています。

  • モービルアイ:自動運転向けカメラシステムの主要プロバイダーで、インテル傘下で技術開発を推進しています。

  • パナソニック:高性能カメラモジュールを提供し、自動運転市場でのプレゼンスを強化しています​​。

3-3.研究開発投資額

  • ソニーは年間約4億ドルをカメラ技術の研究開発に投資しています。

  • モービルアイは年間約3億ドルを投入し、自動運転技術の開発を加速しています。

  • パナソニックは年間約2.5億ドルをカメラ関連技術に投資しています​​。

3-4.最新技術動向

  • 高解像度化:4Kや8K解像度のカメラが開発されており、詳細な画像解析が可能になっています。

  • 低照度性能向上:新しいセンサー技術により、夜間や低照度環境でも高品質な画像が取得が可能となっています。

  • AI統合:AI技術を統合し、リアルタイムでの画像解析や障害物認識が可能になってきています。

  • 自動キャリブレーション技術:カメラの自動キャリブレーション技術の向上により、メンテナンスコストの削減と精度向上が図られています​​。

3-5.課題

  • コスト削減:高性能カメラシステムのコストを削減し、普及を促進する必要があります。

  • 耐環境性能:温度や湿度の変動に強い耐環境性能の向上が求められています。

  • データ処理能力:膨大な画像データをリアルタイムで処理する能力の向上が必要です。

  • サイバーセキュリティ:画像データのセキュリティ確保と不正アクセス防止が課題です​​。

3-6.今後の方向性(取り組み)

  • 自動運転技術との融合:カメラと他のセンサーの組合せで、自動運転の更なる高精度化が検討されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?