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なぜ地球は丸いのか。因果関係の話をしよう。


”誰も端っこで泣かないようにと君は地球を丸くしたんだろう?”

初めてこの歌詞を聴いた時、負けた、と思った。何度生まれ変わっても、私はこんなフレーズを思いつくことはできないだろう。そう思った。

RADWIMPSの「有心論」という曲の一節である。

別に私が問題にしたいのは、この歌詞のメッセージ性や意味が深い浅いという話ではない。ただ、ワンフレーズの中に「地球が丸いのは、『君』が隅っこで泣く人をなくしたいと願ったから」という美しい因果関係が完成していること、それを見つけ出した感性にどうしようもない敗北感を味わったのだ。


そもそも、私たちは普段「地球が丸い理由」を真剣に考えたことがあるだろうか。

私も詳しくはないので滅多なことは言えないが、答えとしては「宇宙の粒子が万有引力で引き合ったから」だという。

では、万有引力が引き合うというのはなぜなのか?

この問いには、まだ答えられていない。「万有引力」という名前がつけられただけで、それが宇宙の「決まり」であるらしい。


「それが宇宙の決まりだから」という答えが全く因果関係を成立させていないことは、おわかりいただけるだろうか。むしろ、「誰も端っこで泣かないようにと『君』が願ったから」という答えの方が、因果関係として美しく、また納得できるものである。

同じ論理で言えば、ブラック校則に疑問を呈する声に対して「それが決まりだから」と答えるのは、因果関係が成り立っておらず、論理関係として非常に美しくない。「その決まりがあるのは、なぜ?」と重ねて問えば、論理の皮を被った「何か」は容易く崩壊するだろう。

因果関係を正しく知り、使えることは、絶対に武器になるのだ。

(これを読んでくれているかもしれない受験生に忖度しておくと、受験の現代文やら何やらでやたら「なぜか」と問われることにも、こんな背景があるということだ。(たぶん。)しっかり勉強して、因果関係の美しさを味わってみて欲しい。)


もちろん因果関係には、穴もある。

よく言われるのは、相関関係から勝手に因果関係を見出してしまう危険性だ。だが、ここでは別の点に注目してみたい。

それは、冒頭の歌詞でいう「君」の存在である。地球が丸いのは、「君」がそう意図したからだ。では、「君」は誰なのか?

考えて見てほしい。森羅万象について、その仕組みについて、きちんと説明しようとしたら、最後は「誰かがそれを意図したから」というところに行きついてしまうのではないだろうか?

昔の人は、それを「神」だと考えた。今も、「神」だと考える人もいる。

だが、「神は死んだ」時代に生きている私たちは、そこに何を設定できるのだろう。

別に私のような一介の大学生が、この答えを提示できるとは思っていない。ただ、わからないなあと思うだけである。

強いていうならば、私だったら地球を正二十面体にして、マリオのゲーム画面みたいにするかなあ、とか、くだらないことを考えている。



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