夜型人間がなんとか生き延びてる話
X(旧Twitter)では時々喋っていることだけれど、私はかなり重度の夜型人間である。時間的な縛りがない生活(好きなときに起きて好きなときに寝る)を続けていると、だいたい、03:00就寝/11:00起床で固定化するのだ。不思議なことに、これ以上は遅くも早くもならない。つまり、私の本来のリズムはこのへんらしいのである。
少し調べてみたら、寝起きの時間は、特定のタイミングで太陽の光を浴びることである程度調整できるものらしい……のだけれど、だからといって完全に好き放題にできるかといえば、どうも違うようだ。補正にも限度がある、らしい。
確かに、私の場合に限っても、義務教育時代から書店員時代まで、だいたい7:15起床で何とか動いてはいた……が、朝の体調は実に酷いものだった。学校に行く日、もしくは職場が朝番の日、目が覚めるたびに、冗談抜きで気分は最悪なのだ。のべつ幕なし怒鳴り散らしたいくらいのイラつきを感じながらも、猛烈な眠気と、頭の内側が焼けるような違和感と、薄らぼんやり張り付いた吐き気、さらにはぐらぐらする目眩と強烈なだるさに阻まれ、言葉を紡ぐような思考も停止している。これが毎朝だ。
朝目が覚める度に、ただただ機械的にコーヒーをいれてカフェインを流し込み、何とか正気を維持しているだけの、文字通りゾンビ以下のなにかに成り果てる。誇張でも冗談でもなく、学校or仕事の日は毎日、一日の例外もなくこの状態。休日は9時~10時ごろまで寝ていたし、書店員時代の遅番シフト(8:50起床、出勤日数の三割くらい)のときだけは、幾分マシだったけれども。
この一連の症状?状態?は、11時を過ぎるとだんだん楽になってきて、昼にはほぼ完全消滅する……という特徴以外に、『夜どれだけ早く寝ていても発生する』という性質もあった。細かく言えば、早く寝ると眠気だけはかなりマシになるけれど、イラつき、頭の違和感、吐き気、目眩、だるさは、ほとんど一緒なのである。
それでも、何とか目を覚まして起き上がり、立ち上がれはした……というところが、事態を悪化させる原因だった。体は縦になっていても、午前中は何をしようと思考が八割停止していて、体もフラついて力が入らない。何とか辛うじて体を起こしているその状態は、『サボっている』という評価にしかならないのだ。
この状態で、日本の一般的な『朝起きて仕事して夜帰る』社会で生きると『だらしないやつ』『ダメなやつ』が来るのは避けられない。なまじ午後は動けるだけに、生活態度を直す気がない人格的クズ(大意)とまで言われるのだ。どれだけ早く寝てもダメだといくら説明しても、『そんなことあるわけないだろ、サボってるだけのくせに』の一言でオシマイ、である。
……まあ、そのへんの恨みつらみはともかく。
これくらいの夜型人間の場合、一般社会で生きようとすると、『人生の半分をゾンビ状態で過ごす』ことになる。薬や体調管理でマシにできる部分もある(私の場合は半夏厚朴湯が効いた)から、そのへん総動員すれば、なんとか社会人はやれる……かもしれない。しかし根本的に、無理をしていることだけは、変えようがないのだ。
ここでいう無理とは、『一般社会に合わせる為に、使えるお金や時間のほとんどを、“仕事ができる自分”を作ることに費やす行為』だ。それくらいしてでもやりたい仕事があるのなら、それはそれでアリだろう。実のところ、書店員の仕事はかなり好きだった。明らかに無理をしながら、それでも尚できるところまでは、と意地を張ったくらいには。しかし夜型とは関係ない部分のアクシデントで足を壊してしまった以上、もうあの現場に戻ることはできない、どころか立ち仕事全般厳しいだろう。実はまだちょっと未練があったりするが。
その未練は棚上げするとしても、私が暮らしているくらいの田舎の場合、“午後始まりの、座ってできる、未経験可の仕事”はほぼない。辛うじてあったとしても最低賃金の非正規、かつ熾烈な奪い合いだ。あと、そもそも真っ当な学生生活を送れていないような人間が、その手のデスクワークをやっていくのは非常に厳しいという問題もある(※ここには書けないが、いろいろと経験だけはしてみた結果の結論だ)。
販売や飲食系の立ち仕事なら午後始まりもあるけれど、足のハンデはどうしようもない。いっそ都会に出て選択肢を増やすことも検討したが、この足で“車なし”の一人暮らしをするのは現実的ではない。今はまだ筋力にモノを言わせて何とかしているが(何とかなってしまっている、とも言う)、維持の努力はできるだけするとしても、足の『限界』は相当早く来るだろう。無理をしたらしただけ、『限界』までの距離は縮む。
……そういう諸々の事情を考えると、もうどこかに雇われて働くのは、あきらめた方がいいのではないか? という話になってしまうのである。『午前中に真っ当な活動をすること』をあきらめれば、少なくとも、人生の半分がゾンビ状態になるのだけは避けられる。そして幸か不幸か、私は少し星が読めるオタクだった。そちらでお金を頂けるようになれば、何とか自分一人食いつなぐことくらいなら、できるのではないか。……それがつまり、今の私の現状である。
朝がダメ、デスクワーク向いてない、立ち仕事できなくなった、田舎から動けない……の四条件が重なると、私にできることのうち、世間様に最も迷惑掛けずに済む選択肢は『ネット使って一人で稼ぐ』である。せめてこの四つのうちどれか一つでも無かったら、いわゆる『普通の社会人』になれていたかもしれないし、おそらくその方が安定した人生を送れただろうと思う。そうだったら今頃どんな気持ちで生きていたんだろう……と最近よく想像するが、想像するだけ虚しいのもまた事実ではある。
配られたカードで勝負するしかないのがこの人生だが、よりによって、こんなアレな方向のフォーカードは勘弁してほしかった。……とはいえ、生きている以上やるしかねえ、とも言う。さすがにまだちょっと死にたくはない、死にたくは。
……とまあ、そういう状況でもできることやってあわよくば生き延びるしかないだろう、ってことで、今日も星を読んでいる。ふと自分の出生図を見返すと、やっぱり占星術侮りがたしというか、「だいたい書いてあるじゃねェかこれ……」と呻く羽目になったりもして、まあその、頑張って生きてます今日も。
頂いた投げ銭は、全て生きる足しにします。ありがとうございます。