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業界研究はマジメにするな!

業界研究を始めなきゃと思ったら

就活を始めるとき、まず業界研究からってのは定番だ。
ところが何を調べていいかわからないし、どこか調べればよいかわからないって人も大半じゃないかな。
業界に特にこだわりがない、または就活をしているうちに、イベントや説明会でボチボチ理解していけばいいかと考えている人もいるかもしれない。

業界研究はマジメにやる必要はない。だがそこそこ「やる」必要がある。
しかも全業界について浅く広く見てい方がいいだろう。
業界の5年後の市場規模予測、政治や世界情勢との関連やら、原油高騰、為替の影響だとか・・・そんなもん一流のシンクタンクでも正確にはわからない。

要は学生にとって必要なのは、その業界がどういうビジネスで、社会のどういう位置付けにあって、どうやって収益を上げているか、このビジネス構造を理解することが第一だ。興味があれば前述した小難しいことも掘り下げていけばいい。

業界研究の目的

初期の業界研究の目的は「ちゃんと可能性をつぶしておくこと」だ。
自分の大学や学部に勝手に紐づけて、業界を限定しようとする学生がいる。文系だから化学系メーカーにはいけないとか、理系だからコンサルティングファームには入れないとか、思い込みもいいとこだ。

「もしかしたら他の業界のほうがよかったんじゃないか」なんて思いたくないから、他の業界から目を背けようとする節がある。

全員が全員、全大学、全学部がそうだとは言わないが、大半の新卒は横並びだ。新卒は揃って原石であって、化学メーカーに志望した文系の学生だけが石だったなどいうことはない。逆に化学メーカーに入社した理系の学生が宝石である保証もない。
悪い言い方をすれば、特別な新卒はそう多くはない。少なくとも学歴や学部で特別になる人間は多くない。

つまり調べもせず自分にあってるあってないを決定すべきじゃない。選択肢が多いと迷う。迷うのは辛いから選択肢を限定しようするのが人間だ。
ただ調べるの面倒だから、適当な理屈をつけて選択肢から除外しようとするのはやめた方が良い。

逆を言えば自分が興味のなかった業界も調べてみたら面白そうだと感じることもある。人生を決めるかもしれないリサーチだ。卒論仕上げるレベルでマジメにやる必要はないが、やらないというオプションはない。

具体的になにをすればよい?

リクナビが業界基本データをまとめているので、まずはこれを全て一読するのがよい。ただし小売だったり、エネルギーだったりのカテゴリーが見当たらないので、網羅性はないかもしれない。ある程度は自分でも調査しなければならないだろう。

各業界にはさらにセグメント別の業界情報も掲載されている。メーカー業界いかに、自動車、鉄鋼、食品・・・という具合に分類されている。特に業界の仕組みという図解があるから確認してこう。
これらをみると、商品や製品がユーザーや消費者に届くまでに実にさまざまな人や会社が携わっていることがわかり、業界単位で文系がどうの理系がどうのという議論がナンセンスなことがわかる。化学式がわからなくても科学メーカーでできる仕事があるということだ。

次に市場規模の推移を見よう。市場規模が何兆、何億という数字を見るのではなく、ならず推移や成長率を見ることだ。成長中の業界は、競争が激化する可能性があり、横ばいの成熟産業(自動車や鉄鋼)は、イノベーションが起きにくい代わりに安定的かもしれない。成長率が芳しくない業界もあるが、法律、時代、世論、トレンドの変化でリバイバルは起こりうる。

その次にオススメなのは、人の流動性を見ることだ。人が定着しづらい業界というのは、必ず存在する。景気に左右されやすい業界や、業界的に待遇の改善が見込めない、シンプルにきついという業界は存在する。そういった業界に自分が身を置くことをどうかということも考えてみると良いだろう。

人事の意見

ここからは個人的な意見になるので、全企業の人事の総意ではないことを理解しておいてもらいたい。

業界研究が足りてないな、と感じる学生はいる。入社してみないと分からないこともあるだろうから、多少の不足はしかたない。ただ明らかに勉強不足による勘違いをされると、正直いって萎える。

我々はキャリアアドバイザーじゃないし、転職エージェントでもない。誤解や勘違いを解いてあげる義務はない。年配の採用面接官だと、「君、そんなんじゃだめだよ」と教えてくれる人もいたりする。
しかし善意でやってることでも圧迫だのモラハラだの言われかねないご時世なので、「そうですかぁ」で済ませてしまう。入社してから「こんなはずじゃなかった」と言われても困るので、選考は慎重になる。

また「本当はIT業界を志望していましたが、自分にはプログラミングは無理だと思って・・・」と、余計なことを言う学生がいる。たまにではない、まずまずいる。
消去法でエントリーされても心証はよくない。男女の関係なら「他に好きな人がいるけど、自分には無理だと思って・・・」という告白がどうかを考えてもらいたい。

例えばIT業界についてちゃんと調べておけば、いまITエンジニアが枯渇しきっている状況はすぐにわかるはずだ。35歳未経験のIT業界へのキャリアチェンジでも「あり」と判断する会社はあるだろう。
エンジニアが枯渇する今、興味がある程度のポテンシャルで育てていこうと思う企業はゴロゴロしている。人が足りなさすぎて、若さ以外の素養をいったん無視していると言ってもよい。

にも関わらず「自分には無理だと思って」というのは、IT業界を諦めたのではなく、最初っからIT業界にはいる気がなかったのだ。だとすれば「本当ははIT業界を〜」というのは完全に余計だろう。

まとめ

業界調査は」「やらない」選択肢はない。
徹底的に突き詰めるのは手間が多いが、網羅性は必要だ。業界を浅く広く満遍なく行おう。
業界分析のポイントは、手始めとしては以下のようなポイントがよいだろう。

  • 業界の概要、構造、商流

  • 市場規模の推移、成長率

  • 人材の流動性、定着率

業界研究が不足している学生が面接にくると、採用に慎重になる。研究が十分でないことを迷うのではなく、理解が乏しいまま採用すると「こんなはずじゃなかった」という理由による早期離職が怖い。
とは言え人事には「本当はこんな業界なんだよ」と教えてあげる義理もないのだが、たまにおせっかいな面接官だと教えてくれることもある。そういう人はおっさんに多い。

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