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28歳、地方暮らし4年目に。コロナで何が変わったか?


あと少しで、地方での生活4年目を迎える私。これまで楽しく気ままに過ごしてきた日々も、コロナで少し影響を受けた。

本当に幸いなことに、私自身の生活水準はほぼ変わらなかったが、(少なからずあった)暮らしの彩りは薄まってしまった。(人口が少なく、自然とソーシャルディスタンスが保たれる田舎生活においても、という注釈つきで。)

私の地方生活3年目、この1年を振り返りたい。


2020年3月。上旬であれば、まだぎりぎり旅行もできた雰囲気だったが、居住県でも感染者が出始めた。

初期に感染した人(首都圏から帰省した学生や出張帰りの人が多かった印象)は、早々に特定され、ネット上や近所での、誹謗中傷やデマに晒され、非常に苦しい思いをしたという。機器を介さない情報伝達のスピードが早く、顔の見える関係が残る地方ならではの、陰湿さを見た気がした。


4月。緊急事態宣言が始まる。よく行くスーパーがすごく混んでいて、マスクが消えた。(トイレットペーパーとホットケーキミックスも品薄だったけど、家にストックがあったので助かった。)

私が住む街中では、まったくマスクが手に入らなくなったので、仕事のついでに住人が少なさそうな町のドラッグストアも何件か回ったが、ひとつも売っていなかった。ぼーっとしていてもソーシャルディスタンスが維持できそうな、こんなに人がいない町でも、マスクが必要なのかと思うと少し切なくなった。

さいわい、冬に箱買いしていたマスクで、私はなんとか生きながらえた。

仕事は2チームに分けられ、1週間ごとに在宅と出社を交互に繰り返すようになる。
外出し、社外の人に会うことはできなくなり、電話やZoomを使い交渉やミーティングなどをするように。しかしこれは意外とかなり便利で、なぜいままでこれを使ってこなかったのかしらという、よい発見でもあった。


5月。雪国の本格的な春が始まるころ。ゴールデンウィークも緊急事態宣言が続く。かき入れ時の観光業や飲食業の悲鳴が、連日ニュースで報道され、元から少ない人の流れがさらに少なく、もはや息が途絶えたかのように見える街を見つめた。

観光業や飲食業とひとくくりにしてしまえば簡単だが、社会や流通はすべてつながっていて、ここから、この先、街が人がどうなっていくのか、不安を感じた。

流行にのって、何度かZoom飲み会も体験。結構飲みすぎてしまって、ある日は一人でワイン1本以上飲んでしまった。恐ろしいのと、意外と疲れてしまうので、何度かやって、やめた。でも、長らく会っていなかった学生時代の友人とゆっくり話をできたのは、単純に懐かしく、楽しかった。


6~7月。相変わらずマスクは必須だけど、緊急事態宣言をみんなで頑張って耐えたおかげで、世の中の雰囲気が少しよくなったような気がした。


8月。みんながそう思って解放的になってしまったのだろう、全国的に感染者が爆増しはじめた。

雪国は夏のお祭りが盛んだが、軒並み中止となり、すごく悲しかった。落胆する人たちの様子を見て、夏を楽しみに生きている人たちのどれだけ多いことか・・・と実感した。非日常を味わうような機会が都会に比べて圧倒的に少なく、日常を淡々と懸命に生きる人たちの「生きがい」を奪われたようで、やるせない思いでいっぱいだった。


9~11月。イレギュラーな仕事を担当することになったが、仕事自体は、マスクをすればだいたい通常通りできるようになった。

しかし仕事でもプライベートでも、県外の人をこちらへ招くようなことは簡単にはできず、「何かあったら」と我慢を貫く、地方のディフェンス力の高さを見せつけられた。

家族が全員県外に住む私も、ほとんど会うことができなくなった。その代わり、家族のグループLINEが頻繁に発動し、それぞれの近況が前よりもよくわかるようになった。悪くない変化かもしれないと思った。


12月。またまた感染者が増え始めた。(といっても検査数も増えているのだが。)もはやこの感染者数が何の意味を持つのか、よくわからなくなってきた。

当然のことながら、忘年会は無し。というか、送別会も歓迎会もなかったから、会社に新しく入った人のことを何も知らないということに気づいた。飲み会が少ないのは楽だし節約になるけど、やっぱりコミュニケーションの量は減るよなと、時代錯誤の “飲みニケーションおじさん” のようなことを思った。


1月。実家に帰るのをあきらめて、初めていま住んでいるところで年を越した。

寒くて雪だらけで、これっきりにしようかなとさえ思うくらいの正月だった。コロナなんて忘れてしまうくらい、それぐらい雪が多くて大変だった。水道管も凍って、本格的な雪かきもして、人生初体験が多い冬だった。


2月。ケガをして入院して手術をするという、人生初の、喜べないビッグイベントを迎えた。病院のコロナ対策はばっちりで、県外の家族は面会お断りだという。

あたりまえだけど、夫も両親も県外に住む単身赴任一人暮らしの私には、なかなか酷な日々が始まるかのように思えたが、何にも気を使わなくていい日々は、案外気楽だった。病院にいる人はみんな優しくて、社会復帰が心配になる。


一瞬で世の中を変えてしまった、新型コロナウイルス。私は家族にほとんど会えなくなることが一番の変化だったかもしれない。それでも変わらず生活できていることに感謝し、これ以上の不幸がないように祈りたい。


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