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ソーダ集

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君と僕は飛ぼう。街が遠く見える。誰も来ない処まで。
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2020年5月の記事一覧

Summer

Summer

 夏の良く晴れた日ほど気持ちよいものは無い。

 私は近々都市化されようとしている新しい駅まで歩いた。

 道の両端には畑があり、空はひらけていて、向日葵がそっぽを向いて、大きな頭を垂れている。

 私は心の中で焦がれる対象を探しながら、静かな足のりで歩いた。

 おととい短く切った髪を手のひらで撫ぜて、遠くなってゆく雲を眺めた。

 夏だ。夏が本格的に始まった。薄い灰の憂鬱な雲を連れて、五月雨は

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The boy worn crown of thorns

 花冠をつけた女の子が、白いばらの下に睡っていて、

 男の子は荊棘の冠をかぶり、歩いていた。

 女の子は睡りから覚めると、眼を開き、ぱちぱちと音を立てるように、瞬きをした
 男の子は顔を上げ、女の子に眼をとめた。

 こんにちは、と、男の子は言った。何をしているの?

 トリの声を聴いているの。
 

 鳥の声?

 うん。それを聴くと、眼が覚めるの

 眼が覚めた

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