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BEMANI PRO LEAGUEと森とマキシマ


BEMANI PRO LEAGUEが発足して

構想に賛同して3年。
2021年にSTARTしたBPLはシーズン2の「beatmaniaⅡDX」
「SOUND VOLTEX EXCEED GEAR」を経て
最後のタイトル「Dance Dance Revolution」に突入。
先日、ドラフト会議を終え、華々しく24名のプロ選手が誕生した。

これから更なる盛り上がりに期待するところだが
その前に、私自身のことを話しておきたい。

コナミと私の出会い


そもそもコナミデジタルエンタテインメントにMCとして関わることになったのは、今から20年近く前の東京おもちゃショーまで遡る。
私にとっても、ゲームの世界で「ゲーマーを応援する人」として生きる礎となった衝撃的な出会いだった。

当時はメインステージの裏の裏、
通路に設置された1畳ほどのスペースでマイク片手にひっそりと新商品を紹介するというコーナーだった。
今見ても、wikiにも載ってない(つまり発売までムニャムニャ)「画期的な」商品だったのだろう。

説明を聞いてくれるお客さんは、せいぜい3人。
それ以上溜まると、通路妨害になってしまう…
人を集めなきゃアピールできないし、集め過ぎたら怒られるし…
そんなあべこべ感満載の隠れスペースだった。

それでも、商品を開発したスタッフたちにとっては、
精魂込めた珠玉の作品、いわば「子どもたち」のお披露目の場。

なんとか「良きところ」をアピールしようと、夜な夜な紙芝居を自作し
「3分!3分だけ聞いてください!」と半ば大道芸人のように立ち回ったことを覚えている。

そんな「工夫」がスタッフの信頼を得たのか、
以降「社運を賭けたタイトル」というものに、度々呼ばれるように…
ウイニングイレブンやメタルギアソリッド、遊戯王にときメモシリーズなど錚々たるタイトルだ。

しかしこの「社運を賭けたタイトル」の「お披露目」というものには、
商品のアピールはもちろん、他にも必ずと言っていいほど付いてくる

「やっかいなミッション」

があった。

それが「トラブル対応」だ。

もちろん、業界の名誉の為に言っておくが
全ての「新」商品にトラブルが発生するわけではない!
ましてや、私がトラブルを呼ぶ男というレッテルも頂けない。

むしろ、「レアケースである」と考えてもらいたいのだが…

なぜか私が担当する筐体や商品には、担当者から事前に
「耳に入れておきたいことが…」という鳥肌必至の囁きがあったのも事実だ。

私を強くし、
ここまで育て上げてくれた「劇薬トラブル」を紹介したい。

※ここからはコナミだけでなく、多種多様な企業でMCをしたときに起こった実際の話です。

「ランウエィの途中で卵が投げ込まれる可能性があります!」

あるタイトルの紹介で、20mほどの花道をゲストと歩く際に、ネットの犯行予告を見たスタッフから本番5分前に言われたひとこと。

タイトルや内容は差し控えるが、当時、開発スタッフに物申す場が
「お客様相談室」の他にあるとすれば、ネット掲示板が一番有効だった。

そこに書き込まれた犯行を示唆する一文「ヤツに卵を投げる」を
見つけた運営スタッフが、急いで花道の下に配置したのは
「防御用のアクリル板だか、看板だかを持ったスタッフ」
いつでも掲げられるようスタンバイしたと言う。

「あ~じゃ、安心ですね~」と言った私にスタッフは
「ゲストは守れますが、一丁さんは急いで逃げてください」だった。

「酷暑のせいで熱暴走」

また、他のイベントでは、タイトルに合致した雰囲気のある(年季の入った建物)場所を選んだため、会場が用意した既存のシステムは熱に対して弱かった。
もちろん、様々な工夫と持ち込み機材で対応できると踏んでいたが、それらを上回る酷暑に見舞われたあの夏、会場では当然のようにシステムエラー。

STAFFから事前に受けたレクチャーはこうだった。
「エラーが出た場合はシステムの復旧に再起動で10分ほど繋いでください」

私も話すこともたくさんあるし、10分ほどなら…という軽い気持ちでいたが…ほどなくして
STAFFが「(3!3!)」とMC中の私にジェスチャーで伝えてくる。

あと3分でいけるのね🎶
じゃ、まとめに入ってそこから盛り上げるためのフリを入れようかな…

ん??

STAFF「(3は✖、5!5!)」

おぉ、ちょっと伸びたか…じゃぁ、何か一つ、小話でも入れて‥‥
ほどなくして…
いや、ちょっと待って。

STAFF「(5は✖、イチ、ゼロ!)」

なるほど、さらに10分か…じゃぁ、何か一つ、コーナーでも作るか…
ほどなくして…
いや、ちょっと待って。

STAFF「(10は✖、サン、ゼロ!)」

…お・・・おぉ‥‥30分
2時間のイベントで…30分…

そこから結果、1時間弱しゃべり続けたあとのチョコはとても美味しかった。

「一般人が紛れ込んでる」


これは、ある大道芸の大会で、なんの芸も持たない一般の人がエントリーされており、(もちろん通常はオーディションで落とされるのだが、いろんな手違いが重なり出場)持ち時間20分が地獄と化したイベントだった。

スタッフからは「もし、何か起こりそうだったら止めてください」と。

いやいや、さすがに日にちあったから、何か練習してきてるでしょ~と。

本番、飾り立てた一輪車を持ってきたので「一輪車できるんじゃーん🎶」と
安心したのも束の間…

その人(一般人)はそれ(一輪車)に乗るのではなく、ぶん回し始めたではないか…

一般人「ほーら!ほーら!怖いでしょ~🎶」と…

当たり前だ。

これは「芸」ではなく、ただの「ホラー」だ。
いや、ホラーも芸だから・・・これは何だ??

即刻、失格を宣言し、冷めた会場の空気を温め直すのに随分苦労した想い出がある。


これらはほんの「言える範囲」のひとこまであり、
「言えないこと」は枚挙に暇がない。

こんな経験がMC森一丁を作りあげ、
私はいつしか「トラブルバスターMC」として、
不安要素を含むイベントMCのスペシャリストになったと自負している。

そして、次の機会には、その際たる出来事の詳細と、今だから言える当時の気持ちを書いてみたいと思う。

「辞退される事態」





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