三禅定トレイル（リベンジ）〜日本三霊山 白山・立山・富士山を走る巡礼旅〜epi.01 準備編
8日間の日本三霊山を巡る巡礼の山旅、旅ランをしてきました。今回その旅の様子をストーリー調で書いています。お時間ある時に楽しんでご覧いただければ幸いです。
◯三禅定トレイル リベンジのデータ
期間：2023.8.11〜18（8日間）
距離：440km
獲得標高：19000m
8/11（DAY1） 美川臨海公園〜スタート前
目を閉じたまぶたを開けると煌々に煇る満天の星だ。
8/10の午後11:00。僕は石川県白山市の手取川河口の美川臨海公園にいる。
これからはじまる冒険の前に僕は高鳴る高揚感とワクワクを少しでも落ち着かせようと冷静な装いをしていた。
「今日までの準備は昨年と比べても万全を期しているし、きっと大丈夫のはずだ。うん。きっと大丈夫。」
心の中の自分に何度も繰り返して洗脳している。
間違いなく昨年と比べても今年の体調は良いので、あとは自分の全力をつくすのみだと思っている。
2020年4月。僕たち夫婦は富山へ移住をしてきた。
その理由は「山の経験値をもっと積みたいから」という、いたってシンプルな理由から転職をして高い山のある富山へとやってきた。
せっかくなら仕事も山関係の仕事がいいと思ったので探したところ環境省のアクティブレンジャーという国立公園を管理する仕事があるのを知り、応募して富山の枠として採用された。
今回の話とは逸れるので簡単な説明だけにするが、国立公園は日本を代表するすぐれた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限するとともに、風景の観賞などの自然に親しむ利用がしやすいように、必要な情報の提供や利用施設を整備しているところで、国が管理している自然公園のことをいう。
硬い説明をしてしまったが、普段意識はしていないかもしれないけれど、有名な観光地や景勝地は実は国立公園内だったりする。
僕が採用されたのは中部山岳国立公園と呼ばれる国立公園で世間一般には北アルプスと呼ばれるエリアの富山県を管轄する部署だ。
そこでの仕事をしていく中で、立山信仰という山岳信仰があったことを知る。
そして、立山は日本三霊山の一つと言われており、その他の白山と富士山を含めた日本三霊山を登拝、巡礼する信仰習俗があることを知る。
それを「三禅定（さんぜんじょう）」と言う。
三禅定は、昔の山伏・修験者らが修行として行なっていたようで、江戸時代には、霊山の信仰は民衆へと届けられ定着していき、三禅定の巡礼へ赴く人々が出てきたそうだ。
ちなみに、三禅定は一度にまとめて三山を巡ることが慣わしだったそうで、夏場の１～２ヶ月をかけて巡っていたという。
「へ〜〜昔の人もそんな長期間かけて、かつ長距離を歩いて（走って⁈）山へ赴いていたんだなー！」
と感心した僕は、三禅定に興味を持ち調べはじめていくうちに、
「昔の人はどんな思いで山へ登っていたのだろうか？時代は違えど、今自分がやってみたら面白そう！どんな感情になるんだろう⁈」
とワクワクセンサーが反応した。こうなってしまったら行動あるのみ。調査の開始だ。
・どれくらいの距離になるのか？
・どれくらいの期間で行けるのだろうか？
・コースはどうがいいのか？
・登る順番は？
など自分なりに調べていく中である程度のカタチが見えはじめてくる。
「せっかくなら海抜0mからスタートして、日本三霊山を登って、最後は日本の最高地点である富士山剣ヶ峰3776mをゴールにしたらロマンチックで壮大な旅になるじゃん！」
と妄想を膨らまし、地図の軌跡を描いていく。
こういった計画を立てるのに便利なのが「ヤマレコ」という山アプリ。
ヤマレコはカスタマイズがしやすく、山のルート以外のロード区間でも手書きでルートを引くことができるので、今回のような長距離を計画するのにとても便利だ。
作ったGPXデータをダウンロードして他のアプリにも反映できるのも嬉しい。
計画をたてたところ、以下のようなデータになった。
距離：482km
時間：195時間（8日と3時間）
獲得標高：2万4245m
ルート：石川県白山市手取川河口0m〜白山山頂（御前ヶ峰）〜立山（雄山）〜槍ヶ岳〜美ヶ原・八ヶ岳〜富士山剣ヶ峰3776m
ルートに関しては、日本三霊山を登りかつ魅力的な山を登れるようにということや日数も考慮にした上でルートを決めていった。
地図を見ながらルートを決める作業がなんだかんだ一番楽しかったりする。
きっと僕のような地図好き男子・女子はうんうんとうなずいているに違いない。
今回計画を立てたと言ったが、実は昨年も同様なチャレンジをしたのでそれを元に今年のルート修正などを行った。
「よし！やれる限りの準備はやった。あとは全力を出しきるのみだ！」
スタートの前夜準備を整え、スタート地点となる美川臨海公園に向かう。
今回スタートから白山山頂まで一緒に走ってくれる予定のYUTAKAさんの車に便乗させてもらった。
午後11:00前に美川臨海公園に到着。
静かな波の音と満点の星空が広がる中、
ワクワク感と内に静かな闘志を秘めながらスタートを待つ。
出発まであと1時間だ。
～2️⃣へつづく
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