『装飾をひもとく 日本橋の建築・再発見』五十嵐太郎・菅野裕子

見慣れた日本橋の建築を再発見するー。建築好き必携の偏愛的マップ

江戸時代より経済・文化の中心地として栄えた日本橋は、かつて全く新しい風景を出現させた最先端の地。日本橋高島屋をはじめとし、周辺には日本橋三越本店本館、日本銀行本店本館、三井本館など、ヨーロッパに学ぶ本格的な古典主義の建築が多数残っていることからも、それは明らかです。また近年、日本橋は新たな再開発が進む街として注目されます。本書では日本橋高島屋を中心に、日本橋地域の近現代建築を取り上げます。なかでも建築の細部・装飾に焦点をあて、西洋の古典主義が日本橋界隈の建築にどのように導入されているかを徹底的に検証します。知られざる装飾の歴史をひもとき、新たな建築の楽しみ方を提案します。

これは名著!出張のときは日本橋界隈をウロウロすることが多いので、あの辺りの建物の雰囲気が独特で面白いなあと思っていて、たまたま目についた本書を読んでみたけど、想像以上に愉しめました。

もう読み始めたら面白くてやめられなくて。

日本橋の代表的な建築を、微に入り細を穿つように解説。図版も豊富で、設計で参照されている他の建築物の写真も比較のために採用されていて、むちゃくちゃ分かりやすい。継承したもの、アレンジしたもの、それらの複合体としての建物の魅力。

まぁほんとに細かい。しかし神は細部に宿る。

十分な数の写真を使いながら、様式の向こう側にある細部を、本場の建築と比較しながら、高い解像度で観察し、装飾から考えること。

おわりに(筆者は五十嵐太郎氏)

まさにこの意図どおりに出来上がった本。

この本は2020年から翌年にかけて高島屋史料館で開催された展覧会『装飾をひもとく』の図録として企画されたものだそうです。

巻頭と巻末には折込式の付録があって、巻頭は日本橋建築マップ、巻末は高島屋や三越の装飾をイラスト化したもの(解説付き)。これ眺めてるだけでもあっという間に時間過ぎちゃう。

次回出張時にはこの本を携えて、三越や高島屋、日本銀行などを見て回りたいな。


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