フレンチおじさんの素敵ぼろベスト【ユーロワーク】【ビンテージ】
古い労働着には、これでもかと継ぎ接ぎされたリペア系と、
放りっぱなしなダメージ系があるかと思います。
今回はどちらかというと後者。
最高にファッショナブルなぼろ着のお披露目です。
こちらは1930-40年代の、フランスのファーマーズベスト。
農家のおじさんが作業着として使われていた一着かと思われます。
はい、ぼろいですね。これがたまらない。
詳しく見ていきましょう。
まずは生地から。
フレンチビンテージには定番の、厚手のシャンブレー生地になります。
素材は厚手のぎっしりしたウール。コットンも少し混ざっているかもしれません。
秋冬の作業に着ていた防寒着でしょうね。
生地といい、柄といい、たまらなく渋いです。愛しいです。
前面から詳しく見ていきます。
まずはお気に入りのぴょこんとしたほつれ。
歩くとゆらゆらお守りのように揺れてくれます。
脇下など摩耗の激しい部分にはこうしてリペアが。
大切にハードユーズされていた名残が愛しい。
かと思えば反対の脇は諦められています。
持ち主さんを想像するとなんだかかわいい。
ちなみにいちばん上のボタンホールはヤられすぎてほとんど留まりません。ぽろっととれてしまう。
一筋縄ではいかないところも愛しいです。
もっと我儘言ってくれてもいい。
ボタンはシェルボタン?ウッドボタン?
細かいことは分かりません。
このなんともいえない色味と模様が、なんともいえず良いです。
欠けていたり、ボタン穴の位置がちぐはぐだったり、愛らしいです。
うしろはシンプルなブラックのコットン。
シンチバックベルトが取れて、競馬のスタートゲートのようにぱかっと開いています。
これも現代においてはファッションとしてとても良いアクセントになってくれますね。
かなりのお気に入りポイントです。
よく見ると、脇下などの磨耗が激しい部位には同色の当て布が。
実用を感じさせて、労働着としてのリアリティがぐっと湧きますね。
現代においては、やはりファッショナブルで愛しいディテール。
後ろ姿にもチラ見えしてくれる、前方の黒シャン生地がいい仕事してます。
非常に気が利いた一着。
ちなみに裾の山なりカットも大好き。
お守りがちょこんと顔を出していますね。
さあ、裏地には更に激しいダメージとリペアがお出迎え。
もう芸術的とまで呼べる迫力。
複雑で美しい。一日中見てても飽きません。
裏地が一部剥がれたのでしょう。
跡からやや不器用な縫いが加えられています。
ちぐはぐでかわいいです。
うーん、やはりファッショナブル。
現代の服にすんなり馴染みながら、しかしばっちりと雰囲気は醸しだしてくれます。
僕はこういう丸みのあるシルエットを、こいつで締めるような感じが好きです。
ああ、ちょっとオタクが出てますね。
しかし魅力を伝えきるには余す所ばかりです。
皆さまも、少しでも興味が湧きましたら、古着屋でもネットでもいいので探してみてください。
十人十色、様々な子たちが見つかることでしょう。
お好きな一着に出会えると良いですね。
イカサ
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